週刊海外テックWatch

GitHub Copilot課金変更の衝撃 エージェントAI時代に崩れる「定額」の前提

次の課金モデルは

 この流れは今後、どう展開してゆくのか――。

 トークン課金のなんらかの見直しが必要との見方の中で、「次」として語られているのが「成果連動型課金」(Outcome-based billing)だ。使用量でなく、タスク完了件数、バグ修正数、デプロイ成功回数など成果を基準に課金する考え方で、カスタマーサポートAI分野では既に先行事例がある。例えば、AIケース運用企業CorePiperの解説によると、Zendeskは解決1件あたり1.50~2.00ドルを課金し、未解決は無課金にする仕組みをとっている。

 しかし問題も出ている。課金プラットフォームを提供するChargebeeは、実務的観点から「成功の定義が曖昧」「失敗時のコストをベンダーが回収できない」などの問題を指摘する。

 実際、CorePiperは、Zendeskが「72時間の無活動をもって解決とみなす」と定義しているため、実際の解決数を15~30%過剰にカウントするおそれがあると批判している。コーディングツールへの適用となるとさらに難しい。「バグが修正された」「機能が完成した」の定義は、チケット解決よりはるかに検証が難しい。

 そんな中で、著名VCのBessemer Venture Partnersが“現実的な解”と見るのはハイブリッド型だ。「不確実な段階では、基本料金と成果連動の上乗せを組み合わせたモデルが勝る」という。

 大手資産運用会社T. Rowe Priceは、「トークン税」と題した機関投資家向けメモで「トークンコストは構造的な問題だ」とする。AI利用では、ユーザーが処理を要求するたびに、計算資源・メモリ・推論・ストレージのコストが発生し、「一度作れば何度でも売れる」ソフトウェアやSaaSとは根本的に異なる。

 「トークン税」を支払う企業、それを顧客に転嫁する企業、そしてインフラを販売することで利益を得る企業、それぞれがどう動くのか。つまり「誰が払い、誰が転嫁し、誰が回収するか」――。それが今後の焦点となる。