週刊海外テックWatch

GitHub Copilot課金変更の衝撃 エージェントAI時代に崩れる「定額」の前提

エージェントがコストを爆発させる

 課金移行の背景にあるのはエージェントAIの急速な普及だ。従来のコードチャットとエージェントAIでは、トークン消費量の桁が違う。エージェントAIは、ファイルを読み込み、テストを実行し、エラーを確認して修正といった具合に、クエリを連続的に繰り返す。Goldman Sachsは、エージェントAIのトークン要求は、単純なチャットボットの10~50倍に膨らみ得ると説明する。

 Goldman Sachsのシニアアナリスト、Jim Schneider氏の試算では、2026年から2030年にかけて世界のトークン消費量は最大24倍(月120京トークン)に増加するという。消費者用途だけで12倍、企業用途との合算で24倍という計算だ。

 提供する側の事情もある。4月22日付のテクノロジー批評メディアWhere's Your Ed Atは、入手したMicrosoftの内部文書から、Copilotの週次運用コストが1月から倍増していたと伝えた。想定を超える利用に対して、引き締めざるを得なくなったというのだ。

 この急激な利用増でユーザー企業側の打撃も報告されている。The Informationによると、UberのCTO、Praveen Neppalli Naga氏は、Claude CodeとCursorの2026年の年間予算を4カ月で使い切ったことを明かした。エンジニア5000人のうちClaude Codeの採用率が2月の32%から3月に84%へ急上昇したことが直接の原因だ。1人あたり月額150~250ドルが標準的で、ヘビーユーザーでは500~2000ドルに達したという。

 また、5月28日付のAxiosによると、あるAIコンサルタントのクライアント企業はClaudeライセンスの使用上限設定を忘れたまま運用し、1カ月で5億ドルを費やしたという。

 2010年代初頭のクラウドでも請求額の膨張が問題になったことがあるが、今回は速度が全く違う。企業がAI利用の上限設定やポリシーを整える間もなく、エージェントAIが現場に展開されてしまったということだ。