週刊海外テックWatch
「民主化」を語るAltman氏 社内文書が示した“本音”とは
2026年4月20日 11:31
“囲い込み”を設計するメモ
襲撃事件の3日後、一通のメモがメディアによって報じられた。OpenAIのCROであるDenise Dresser氏が従業員にあてて送った4ページの文書で、CNBCが最初に報じ、The Vergeが全文を公開した。Dresser氏はSalesforce傘下でSlackのCEOを務めた後、法人市場を強化すべく2025年末にOpenAIに参画した人物だ。
メモには「複数製品を採用してもらえば、われわれを置き換えにくくなる」と書かれており、さらに「われわれは個別製品ラインを持つ会社ではなく、複数の入り口と一体的なエンタープライズ提供を持つプラットフォーム企業として考えるべきだ」と続く。ユーザーに製品を横断的に使わせ、業務フローの深部に入り込み、離脱コストを高める。これが内部で共有されている戦略の核心だ。
さらにメモは、長年の提携先Microsoftとの関係についても率直だ。「Microsoftとの提携はわれわれの成功の礎だった。だが同時に、企業顧客へのアクセスを制限するものでもあった」とDresser氏は記す。事実、Microsoftは2024年の年次報告書でOpenAIを競合他社リストに追加している。Dresser氏は「多くの企業顧客はBedrock(AWSのAIプラットフォーム)を利用している」とも指摘し、Microsoft依存からの脱却を促している。
そして「市場はかつてないほど競争が激化している」と総括。エンタープライズ市場を念頭に、Anthropicへの強烈な対抗心をあらわにしている。
このDresser氏のメモを、The Vergeは「AI製品を取り囲む堀(moat)を作り、ユーザーを逃さない戦略」と読み解く。モデルの性能でのリードはすぐに失われる。だからこそ、顧客を複数の製品に深く組み込み、容易に乗り換えられない状態を作れというのだ。