週刊海外テックWatch
Salesforceが「Heroku」の新機能開発を停止 Agentforceに資源集中
2026年2月16日 11:28
Agentforceへの集中
Herokuの方針転換は、Salesforceが進める大規模な企業変革の一部に位置付けられる。
Greyhound Researchのチーフアナリスト、Sanchit Vir Gogia氏は次のようにInfoWorldに語る。「Herokuはかつて、Salesforceがより広範な開発者エコシステムへの架け橋として機能していた。しかしその後Salesforceは、開発者を引きつけることからエンタープライズAIの成果をコントロールし収益化することへと戦略的焦点を移した」
また独立アナリストのMichael Warrilow氏はThe Registerに、「開発者はHerokuを愛していた。しかし高額な価格設定が開発者離れを招き、最終的にAgentforceがとどめを刺した」と見解を語っている。
Ad Hoc Newsによると、Salesforceは2月初旬に1000人規模の人員削減を実施した。削減対象はマーケティング、プロダクトマネジメント、データ分析部門などで、削減により生じたリソースはAI投資に振り向けられるという。
経営陣も刷新が進み、過去3カ月間で5人の幹部が退任した。中でも、AIについては、ゼネラルマネージャーとして取り組みを率いていたAdam Evans氏に代わって、Joe Inzerillo氏がAgentforceプラットフォームとSlackの双方を統括するという。
これまでの戦略転換は一定の成果を上げている。SalesforceのAgentforceプラットフォームは、「Data Cloud」を含めて既に年間約14億ドルのARR(年間経常収益)を生み出しており、3桁台の成長率で拡大している。だが、AIエージェント台頭による「SaaS不要論」でSalesforceは矢面に立たされており、1年前には300ドル前後だった株価は、足元では180~190ドルで推移している。
Herokuの方針転換は、PaaS市場全体の構造変化を象徴している。InfoWorldは、IBM BluemixがRed Hat OpenShiftへ、VMware Pivotal Cloud FoundryがTanzuへと統合された先例を示す。クラウド市場が成熟し、主要プロバイダーが包括的なサービスを提供する中で、独立系PaaSの存在意義は縮小している。Salesforceの決断はこの業界トレンドの延長線上にあるとも言える。