週刊海外テックWatch
Salesforceが「Heroku」の新機能開発を停止 Agentforceに資源集中
2026年2月16日 11:28
Heroku戦略転換の背景は
Herokuは2007年創業で、当初はRubyアプリケーション向けのクラウドプラットフォームとして登場した。Salesforceによる2億1200万ドルのHeroku買収は2011年初めに完了した。その後、複数のプログラミング言語への対応や機能拡張を進めてきた。アプリケーションは「Dyno」と呼ばれるLinuxコンテナで実行され、簡単なコマンドでデプロイできる手軽さが開発者に支持されてきた。
そのHerokuが戦略的優先順位を失った背景には、市場環境の変化と内部的な要因が複合的に作用している。
Avasantのリサーチディレクター、Chandrika Duttは、構造的な課題として2点を挙げている。第一に、競合環境の変化だ。Herokuの代替として、Render、Railway、Fly.io、Vercel、Supabaseといった、よりアジャイルでモジュラー、かつコスト効率の高いサービスが台頭している。
第二に、PostgreSQLのエコシステムが大きく拡大した点だ。Herokuの主要機能の1つにマネージドデータベースサービス「Heroku Postgres」があるが、現在では専門的なPostgreSQLホスティングサービスやバックエンドサービスが充実し、Herokuの統合スタックとしての価値が相対的に低下したと分析する(InfoWorld)。
SiliconANGLEも競合環境の変化を指摘する。Salesforceが買収した2011年当時、主要パブリッククラウドは初期段階にあり、PaaS機能は限定的だった。しかし現在では、Amazon Web Services、Google Cloud Platform、Microsoft Azureといった主要クラウドプロバイダーがHerokuのコア機能に相当するサービスを提供している。
内部的な要因を指摘するメディアもある。Herokuは近年、AIエージェント構築サービス「Managed Inference and Agents」を提供していたが、Salesforceは2024年に同様の機能を持つ「Agent Builder」を大々的にローンチした。SiliconANGLEとThe Registerは、社内での機能重複の結果、Heroku維持の戦略的意義が弱まったと分析している。