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車はスマホから呼び出すものに 配車アプリUberの野望

GoogleやAmazonに挑戦

 一方で、Uberはタクシー事業者や都市当局との戦いを繰り広げながら、次の手を打ち続けている。つい最近も、相乗り・割り勘にして料金を安くする新サービス「UberPool」のβサービスを8月15日から開始。Uberドライバーを活用した宅配サービス「Corner Store」を同19日に実験的に導入した。

 UberPoolは、タクシー代替ではなく、スマホで注文を受け、日用品を即日配達するサービスだ。飲み物から、おしめ、歯磨き、さらには避妊具まで100種類以上の品物を扱い、Uberドライバーが注文を受けて玄関まで届ける。ワシントンDCの一部エリアで、数週間の期間限定で実施する予定だ。Wiresd.comは、これを「Google、Amazonへの挑戦」と位置づけている。

 即日宅配サービスは米国でもまだ成長中の巨大ビジネスだ。Amazonは即日配達サービスの「Get It Today」エリアを拡大中。また、Googleは試験的な即日配達サービス「Google Shopping Express」を昨年3月にサンフランシスコで開始。今年5月にはニューヨーク(マンハッタン)に拡大した。

 Wiresd.comは、Kalanick CEOが、長期的にはUberを運送会社から本格的なロジスティックス会社に変えようとしていると指摘。そのモデルを「Uberは、スマートフォンを現実世界のリモコンのように使うことをわれわれに教えた。ボタンを押すだけで、自動車からピザまで何でも取り寄せることができるのだ」(Wiresd.com)と解説する。

 さらに、Uberは8月20日には、アプリのAPIをパートナー企業に提供すると発表した。パートナーは、Hyatt Hotels & ResortsやUnited Airlines、Starbucks Coffeeなどの大手や、レストラン予約のOpenTable、旅行口コミのTripAdvisorなど11社で始めた。これによってパートナーのアプリにUberのサービスを組み込むことが可能となり、例えば、ホテルや飛行機の予約とともに、宿や空港から目的地までの車の手配を一緒に行うことなどができる。

 APIの公開は、Uberが自社サービスをプラットフォーム化するための第一歩とみるメディアも多い。だが、どれだけ受け入れられるかには疑問もある。GartnerのヴァイスプレジデントNick Jones氏は次のようにVentureBeatにコメントしている。

 「APIの公開によってUberは、より多くのチャンネルを獲得し、アプリの活用を広げ、売り上げを増やす可能性がある」「しかし、他方で、交通事業者や当局がUberに強い敵意を持っている国もある。面倒な法的な問題などに巻き込まれるのを嫌って、パートナーになろうとしない事業者もいるだろう」。Uberと既存サービスとの小競り合いは、まだまだ続きそうだ。

行宮翔太=Infostand