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AI出遅れのApple モノづくり出身新CEOに託した賭け
2026年9月7日 11:56
AppleのCEOが9月1日付で交代した。15年間にわたって同社を率いてきたTim Cook氏からバトンを受け継いだのはハードウェアエンジニアリング担当上級バイスプレジデントだったJohn Ternus氏だ。モノづくり一筋のキャリアを持つ同氏をトップに据えた人事はAI競争へのAppleの回答になるのか。それとも時代錯誤なのだろうか。時価総額世界一を争う同社は、AIでの遅れをどう挽回するのだろうか――。
明暗両面持つCook CEO時代
「Cook氏は、Appleのサプライチェーンをあらゆるメーカーがうらやむほど優れたものにした」とReutersは評する。Cook氏のオペレーション重視のもと、同社は最先端の製品を大衆に届けてきた。Apple製品は世界で25億台が使われており、Apple WatchやAirPodsなどのアクセサリーはCook氏のもとで発売された。
Cook氏が率いた15年間で、Appleの売り上げは4160億ドル(2025年度)と約4倍に拡大し、時価総額も約3500億ドルから4兆5000億ドル超へと約13倍に成長した。「優れたプロダクト体験」で同社をけん引したJobs氏に対し、Cook氏のかじ取りは、卓越したサプライチェーン管理、エコシステムの囲い込み、サービス事業への転換などで特徴付けられる。
だが製品の革新性の面ではいまひとつだった。CEO交代を詳細に点検したBloomberg Businessweekは、Cook氏について、「iPhoneに匹敵するような画期的な製品を再び生み出すことはなかった」と評する。10年にわたって数十億ドルを投じた自動運転車の開発計画は2024年に打ち切られた。大きな賭けであるMRヘッドセット「Vision Pro」も苦戦中だ。
とりわけ、AIでの出遅れは同社の先行きに影を落としている。2024年に発表した「Apple Intelligence」の立ち上げは順調に進まなかった。2025年にはPerplexity買収の可能性を社内で検討していると報じられたが、立ち消えとなった。
そしてAppleは2026年初め、Googleの「Gemini」技術を活用してApple Intelligenceを拡充する方針を明らかにした。6月の自社イベント「WWDC 2026」では新しい「Siri AI」を発表。年内にベータ版の提供を開始するとしている。