Infostand海外ITトピックス

OpenAIが企業再編しIPO目指す Microsoftとの関係には新たな節目

史上最大が予想されるIPO、だが損失も増大中

 もう一つ注目されるのがOpenAIの資金繰りとIPO(新規株式公開)だ。Altman氏は発表日、次世代のデータセンターを構築し、先進的なAIシステムを訓練するために必要な資金量を考えると「(IPOの)可能性が高い」と述べた。

 翌10月29日、Reutersは「評価額最大1兆ドルという史上最大級のIPO準備」と報じた。早ければ2026年後半の届け出を検討中という。CFO(最高財務責任者)のSarah Friar氏は関係者に上場目標を2027年と伝えているが、一部のアドバイザーは2026年後半の前倒しもあり得るとみる。

 OpenAIの広報担当者はReutersに対し、「IPOはわれわれの焦点ではない」と述べている。

 だが、必要な資金量は途方もない。Altman氏は、今後数年間で約30ギガワットのデータセンター・インフラを構築するため、1兆4000億ドルが必要と明かした。最終目標は、週ごとに1ギガワット相当の計算能力を追加できるインフラだ。1ギガワットあたりの建設コストは現在最大500億ドル。これを200億ドルまで下げたいという。

 IPOが実現すれば、ソフトバンク、Thrive Capital、アブダビのMGXといった初期投資家にとって大きな勝利となる。OpenAIの評価額は現在5000億ドルで、年間売上高は年内に約200億ドルに達する見込みだ。

 同時にOpenAIの損失は増え続けている。売り上げが拡大する一方で、研究開発とインフラ投資のコストも急増しているためだ。

 The Registerは皮肉を込めてこう記している。「5000億ドルの評価を受けながら一度も利益を出したことのない企業に、プレゼントとして何を贈るのか? さらなる投資だ」