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推論モデル時代で変わるAI動向~「State of AI Report 2025」から

2026年には何が起きるのか?

 レポートは恒例の「今後12カ月間の予測」で10項目を挙げている。中でも注目すべきは、エージェントの活躍とリアル世界への浸透だ。

 「AIエージェントへの広告支出が50億ドルに達し、大手小売業者の中からオンライン売り上げの5%以上を記録する」。――これは、AIエージェントを通じた購入が、もはや実験段階でなく、売り上げに反映されることを意味する。

 学術分野では、AIの画期的な進展が予測されている。「オープンエンド型エージェントが、仮説・実験・反復・論文というエンドツーエンドで意義ある科学的発見を達成する」という予測だ。

 「オープンエンド」とは「固定された最終目標を持たずに新しいタスクを継続的に提案し、解決する学習システム」で、AIが“好奇心”に従って自ら学習し、スキルを蓄積して、再利用して次の発見へと進む。人間の手を借りずに有意義な論文を書くようになるという。

 一方で、安全保障にかかわる深刻な予測もある。「ディープフェイクやエージェントによって引き起こされたサイバー攻撃が、AIセキュリティに関するNATOまたは国連による初の緊急討議を引き起こす」というものだ。

 2025年の総括でも、「AIのサイバー能力は5カ月ごとに倍増し、防御策を凌駕。犯罪組織はAIエージェントを用いたランサムウェアを仕掛け、フォーチュン500企業に侵入した」とされていた。AIを使ったサイバー攻撃が、2026年には国家安全保障レベルの事案に発展する可能性があるというのだ。

 AIが“戦争の引き金”になる時代が近づいているかもしれない。