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DataRobot、NVIDIAとの連携やエージェントワークフォース革命を語る

 DataRobot Japan株式会社は3日、NVIDIAとのパートナーシップやエージェントワークフォース革命について説明会を開催し、同社の取り組みを解説した。

 米DataRobot チーフレベニューオフィサーのジェイ・シュレン(Jay Schuren)氏はまず、エージェントワークフォース革命という概念について触れ、「アナリストやAIのリーダー企業は、エージェントをビジネス変革そのものととらえている」と話す。先進的な顧客の取り組みにもその考えが反映されているとして、シュレン氏は事例を紹介。通信事業者が点検や修復作業において、ドローンによる動画をAIエージェントが自動解析し、通信タワーの損傷箇所の特定や報告書作成を自律的に行っているとした。

米DataRobot チーフレベニューオフィサー、ジェイ・シュレン氏

 「エージェントワークフォースは、企業内にサイロ化して存在する多様な情報を横断的に扱い、これまで時間がかかっていた問題解決を事業横断で支援する。従来の生成AIが、問い合わせ1件あたり5~10%の時間削減といった改善にとどまっていたのに対し、エージェントはプロセス全体に介入してワークフローを自律的かつプロアクティブに最適化するため、大幅な時間削減が可能だ」と、シュレン氏は述べている。

エージェントワークフォースが事業横断的なDXを実現する

 一方、実際にエージェントを企業内で動かそうとすると、多数のシステムやツールとの連携はもちろん、権限管理などの設計が複雑になる。また、エージェントは一度作って終わりではなく、運用の中で継続的な更新やモニタリングも必要だ。

 こうした課題に対し、DataRobotはNVIDIAと共同で「エージェントワークフォースプラットフォーム」を開発、企業全体の多様なデータにアクセスし、エージェントが問題解決できるAIファクトリーを提供している。

エージェントワークフォースプラットフォーム

 「最終的な目標は、ビジネス成果と明確な価値を生み出すことだ」とシュレン氏。そのために求められるエージェントの要件として、「インフラ全体をまたいで自律的に動くこと、深い推論能力を備えていること、人間同様にテキスト、画像、動画などマルチモーダルなデータを扱えること」を挙げた。

 多くの企業はエージェント開発のたやすさに注目しがちだが、「DataRobotが特に重視しているのは、本番環境で安全かつ継続的に動かし続けるためのモデレーションやガバナンス、運用監視の仕組みだ」というのは、DataRobot Japan 副社長 兼 AI&サービス統括部長の小川幹雄氏だ。「エージェントは作って終わりではなく、その後の統制や監視のプロセスが重要」と小川氏は主張する。

DataRobot Japan 副社長 兼 AI&サービス統括部長 小川幹雄氏

 同じ目的でエージェントを構成する場合でも、そのパターンはさまざまだ。こうした多様なアーキテクチャを本番環境で安全に動かせるよう、「DataRobotはAIエージェントアプリケーションとしての統制および運用を強化すると同時に、ROI(投資対効果)を損なわないためのコスト最適化にも取り組んでいる」と小川氏。特に、ソフトウェア側でコストを削減する「syftr」と、ハードウェア側でコストを最適化する「Covalent」という2つのフレームワークを用意し、エージェント運用を経済面からも支えている。

デモから本番環境対応エージェントへ
DataRobot社のAIエージェント戦略

 またDataRobotは、単なるプロンプト集ではなく、本番環境までシームレスに展開できるInfrastructure as Code(IaC)も含んだテンプレートを提供しているという。「認証情報やモニタリング、評価、大規模言語モデルとの接続ゲートウェイ、コードレジストリ、さらには既存の予測AIや生成AIとの連携まで一体化した骨組みを提供し、検証環境から本番環境へのデプロイをスムーズに行える」(小川氏)としている。

 NVIDIAとの連携では、「同社のNIMsやNeMoなどのソフトウェアとDataRobotのコア機能を連携させ、推奨GPUの選定から起動、API化、モニタリングまでを数クリックで完結できるようにしている」と小川氏は説明する。

さまざまなNVIDIAのAI機能がDataRobotにインテグレート

 さらに、テクノロジーに加え、DataRobotは日本チーム主体でAI CoE(Center of Excellence)サービスを提供し、企業のAI実装を支援しているという。「企画から開発、運用までを一貫してサポートし、人材不足の中でもAI需要の高まりに応えられるよう、サービスとして提供している」と小川氏は述べている。

サービスとして提供するAI CoE