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中国版「Stargate Project」が本格始動 一方でデータセンターの8割が稼働していないとの指摘も
2025年9月29日 11:19
国家プロジェクト「東数西算」
中国政府は2022年はじめ、「東数西算」(Eastern Data, Western Computing)というプロジェクトを打ち出した。5Gの普及とAIアプリケーションの登場で急拡大するデータセンター需要の増加に対応するため、地域ごとの特性に合わせたコンピューティングインフラを配置するというものだ。
中国は東部沿岸に大都市が集中しており、データ処理需要がますます増加すると予想される。一方、西部の新疆ウイグル自治区や内モンゴル自治区、チベット自治区といった地域は土地が豊富で、太陽光、風力、水力などの再生可能エネルギーの調達もしやすい。
そこで、西部地域にデータセンターを整備して、その計算能力を東部地域に提供することが考えられた。「東部の数(ビッグデータ)を西部で算(計算)する」という形に国内のコンピューティング資源を最適配置する構想だ。これは同時に経済的に遅れている西部地域の振興策にもなる。
プロジェクトでは、ネットワーク中継の8つのハブ(東部3、西部5)と10のデータセンタークラスターを構築する。蕪湖市は、8つのハブの一つとなる長江デルタ地帯の都市で、10カ所のデータセンタークラスターのうち「蕪湖クラスター」となる街でもある。
昨年8月29日付のChina Dailyによると、Liu Liehong(劉烈宏)国家データ局長が同6月時点のプロジェクトの国の直接投資額は435億元(約61億ドル)を超え、8つのハブには地方政府や民間から総額2000億元(約280億ドル)以上の投資が行われていると明らかにした。データセンターのラック数も195万台を超えたという。
数字の集計の仕方が不明なため直接の比較は難しいが、1年3カ月経った現在、蕪湖1市だけで2700億元が投資されているとすると、かなり加速していると考えてよいだろう。
実際、西部地域でも急ピッチで建設が行われている模様で、Bloombergの記者が今年初めに新疆の辺境地域を取材し、砂漠の真ん中に約40のデータセンターが建設されている様を目の当たりにしたと伝えている。