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Palo Altoが250億ドルでCyberArkを買収 統合進むサイバーセキュリティ業界
2025年8月12日 11:26
AI普及で急拡大するアイデンティティ管理市場
Palo AltoのCyberArk買収にはプラットフォーム戦略以外にも大きな要素、すなわちAIの台頭がある。
Arora氏は買収発表の際、「競争についてパニックになっていないが、AIがサイバーに与える影響についてはパニックになっている」と率直に語っている。実際、Ctechは「AI時代の到来によりアイデンティティ管理分野は爆発的成長が見込まれるものの、現時点では十分に対応できるソリューションが不足している状況だ」と分析している。
Ctechはその証拠として、イスラエルのスタートアップNoma Securityが、先ごろAIエージェントアイデンティティの管理ソリューション構築のために1億ドルを調達した動きを紹介する。
TD CowenのアナリストShaul Eyal氏は、Arora氏の成功要因を「執行への絶え間ない集中」とし、「Palo Altoを迅速にスケールさせ、リーダーまたは準リーダーになる市場に賭けている」戦略にあるとCNBCに分析している。既存顧客にアップセルするものが増えれば、容易に利益を上げることができるという。
そのプラットフォーム戦略に対しても、Ctechは「ある時点で、エンタープライズ顧客はプラットフォーム化の競争がイノベーションの犠牲の上に成り立っているかどうかを問い始めるかもしれない」と懸念を述べている。
実際、CyberArkの売却については、「CyberArkは2024年に好調な業績を記録し、2025年も30%成長の強気の予測をしている。にもかかわらず、今売却することを選んだ。これは次の疑問を提起する:CyberArkは競争する技術を持っているのか、それとも単に将来への恐れなのか?」(Ctech)
それでもArora氏の自信は揺るがない。「当社の株価は現在最低水準にあるが、今後5年間で大きく成長するだろう」と語る。この巨額買収が真の価値創造を実現できるかは、今後の統合プロセス次第と言えそうだ。