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「建てて、建てて、建てまくれ!」 米国AI政策の大転換
2025年8月4日 11:27
米国が7月23日、新たな「アメリカのAI行動計画(America's AI Action Plan)」を発表した。Biden前政権が進めていた「安全で信頼できるAI開発」に対し、AI覇権をかけた自由主義的な構造改革に踏み切る内容で、米国のAI政策の大転換となる。
規制重視から「全面撤廃」へ
「米国はイノベーターに青信号で報いる国でなければならない。『Red Tape』(官僚的規制)で締め付けるんじゃない」。AI行動計画が発表された7月23日の夜、ワシントンDCでは、連邦議員とシリコンバレーの業界リーダーの団体が主催して、「Winning the AI Race(AI競争に勝利する)」というイベントが大々的に開かれた。その中でTrump氏はこう宣言した。
AI行動計画は、「イノベーション」「インフラ」「外交と安全保障」を柱に、28ページにわたって90の政策行動を列挙している。その第1の特徴は徹底的な規制撤廃だ。
例えば、各連邦政府機関にAI開発を妨げる規制の廃止を求め、特にBiden政権下でテック企業を厳しく監視してきた連邦取引委員会(FTC)には前政権下での調査を見直すよう指示した。
また、インフラを迅速に整備するため、データセンター、半導体製造施設、エネルギーインフラなどの建設で、許認可プロセスを合理化する。「Build, Baby, Build!」(建てて、建てて、建てまくれ!)というスローガンを掲げ、AI関連建設を環境関連規制(NEPA、クリーンウォーター法、クリーンエア法など)から除外することも提案している。
イベントに出席したNvidiaのCEO、Jensen Huang氏は壇上で「米国のAIには、Trump大統領という他国にはない強みがある」と持ち上げた。AMDのCEO、Lisa Su氏は「AI行動計画は、私たちが速く動くために役立つあらゆる要素を明確に示す素晴らしい方法だ」と称賛した。
Wall Street Journalは「新しいAI計画は、NvidiaとAMDのビジネスをさらに後押しする可能性がある」と論評している。同紙が引用した政治資金監視団体Issue Oneの調査では、テック大手8社は2025年前半だけで3600万ドルのロビー活動費を投入していたという。