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Palo Altoが250億ドルでCyberArkを買収 統合進むサイバーセキュリティ業界

Palo Altoの統合プラットフォーム戦略

 Arora氏のCEO就任後、Palo Altoはプラットフォーム戦略を進めてきた。背景にあるのは、サイバーセキュリティ業界の根本的な問題だ。

 IBMとPalo Altoが1月に発表した共同報告書によると、「平均的な組織は29の異なるベンダーから83の異なるセキュリティ製品を使用している」という。多くのばらばらのソリューションを組み合わせて使っているのが現状だ。

 Wall Street Journalによると、Arora氏は買収前の5月、「業界は今日の断片化されたセキュリティ環境からの脱却と、統合に向けてパラダイムシフトを必要としている」と語っていた。CyberArkの買収はこの戦略に沿ったものと位置付けられそうだ。

 だが、Wells Fargoのアナリスト、Andrew Nowinski氏は、「あらゆる企業がPalo Altoの立場にあり、すべての異なる製品を実際に提供できることを望んでいる。だが、これは非常に困難なことだ。Palo Altoのようなベンダーはそう多くはない」とCNBCにコメントしている。Nowinski氏によると、アイデンティティ管理は今後数年、ITが予算を投じる分野と予想されているという。

 一方で、業界内ではPalo Altoの統合戦略への懸念も高まっている。競合するCato NetworksのCEOであるShlomo Kramer氏は、LinkedInへの投稿で「これはプラットフォーム化ではなく、むしろIBM化だ。Palo Altoは日々、かつてのIBMに近づいている」と述べた。

 またCheck Point Software TechnologiesのCEO、Nadav Zafrir氏も「単一ベンダーに依存するのは不健全だ」と述べている。

 同時に統合戦略を支持する声もある。YL VenturesのイスラエルオフィスのシニアパートナーOfer Schreiber氏は、「顧客の視点から見ると、複数の製品をバラバラに使うよりも緊密に統合された1つのベンダーとやり取りする方がはるかに便利だ」と述べている。CNBCが伝えている。