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AI時代のデータプラットフォーム戦略 DatabricksとSnowflakeのデータベース買収競争

戦いの場は「システム・オブ・インテリジェンス(SoI)」へ

 DatabricksとSnowflakeの競争が向かう先をSiliconANGLEは「システム・オブ・インテリジェンス(SoI)」という言葉で説明している。

 「エンタープライズアナリティクスは静的で過去のデータに基づくダッシュボードから、ビジネスパフォーマンスを継続的に感知、予測、最適化する動的な4次元デジタルツインへと進化している」(SiliconANGLE)といい、自律エージェントの展開で「この進化は避けられない」とする。

 SoIは3層構造になっており、最下層が財務やサプライチェーンなどの記録システム(Systems of Record=SoR)、中間層がインテリジェンスシステム(System of Intelligence=SoI)、最上層がエージェンシーシステム(System of Agency=SoA)となる。

 SoAは、SoIからコンテキストを取得してSoRからデータを引き出す。この仕組みによって機械の速度での意思決定が可能になるという。そして、中間層のSoIを制することが今後10年の競争を決定するだろうと予測する。

 またSoIの覇権争いには、Amazon、Google Cloud、Microsoftなどのハイパースケーラーも参加している。例えば、Amazonにはモデルの構築、トレーニングなどをフルマネージドで提供する「Amazon SageMaker」がある。SalesforceやSAPは、アプリケーションを入り口にSoI市場を狙っているという。

 Constellation Researchの主席アナリスト、Michael Ni氏も「ビッグデータと分析の領域を超えた(2社の)チェスマッチの次のラウンド」とInfoWorldに述べている。「もはやビッグデータ分析の話ではない。分析、運用ストレージ、機械学習を統合するAIネイティブなデータ基盤に向けて戦っている」(Ni氏)。

 DatabricksとSnowflakeの大型買収は、単なるデータ分析のプラットフォームから、SoIによるビジネスオペレーションに影響する領域に入ったことを示している。SiliconANGLEは、これを「ルビコン川を渡った」(後戻りができない一線を越えた)と評している。