Infostand海外ITトピックス

Salesforceが売却を検討? 超大型買収話の行方は

巨額買収への疑問

 しかし、アナリストやメディアの間からは、MicrosoftにとってSalesforce買収はばかげているという声も出ている。

 Wall Street Journalは最初から、この取り引きはかなり難しいとしている。「確立され、1万6000人の従業員を擁し、Benioff氏という野心を持ったCEOの会社を統合するのは大変な挑戦」と述べ、企業文化の違いが障害になると指摘。また、Salesforceが巨額過ぎる点にも疑問符をつけ、過去20年間に100億ドルを超える規模のテクノロジー企業の買収は計16あったが、多くはうまく機能していない、と警告する。

 投資ファンドElevation Partnersの共同創業者Roger McNamee氏は、もっと厳しい。「もし、私がMicrosoftの株主なら、『お願いだから買収などしないで欲しい』と取締役会に手紙を書くだろう」と、CNBCの番組で述べた。

 同氏によると、Salesforceは既に巨大すぎるという。そしてMicrosoftはCRM製品を買収で手に入れるのではなく、あくまでDynamicCRMのように内製すべきだと主張する。「Microsoftはすべてを内部で構築すべきだ。それによって多くの機会を得られる」とMcNamee氏は言う。

 また、Quartzは「MicrosoftがSalesforceを買収しないであろう4つの理由」と題して以下を挙げた。(1)「買収額が高額になりすぎる」、(2)「割に合わない」:試算では、買収の負担の大きさの割に効果が小さく、数十億ドルのコストカットも必要になる、(3)「Oracleの急襲があるかもしれない」:最初に買収を持ちかけたのはOracleであると考えられ、競合する可能性が高い、(4)「Benioff氏は売却したくない」:Salesforceの過去3年間の平均売上成長率は33%と好調で、Benioff氏は独立を維持したいと考えるだろう――。

(岡田陽子=Infostand)