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Salesforceが売却を検討? 超大型買収話の行方は

 クラウドの覇権をかけたベンダー間の戦いが激化する中、CRM大手のSalesforce.comが自社売却を検討しているというニュースが飛び出した。年間売上高50億ドルに迫り、企業価値は500億ドルとされる同社の取り引きが成立すれば、エンタープライズソフト企業史上最大の買収案件になる。いくつかの“買い手”が取りざたされる中、最有力候補として挙がったのがMicrosoftだ。クラウドの勢力地図が塗り替えられるのだろうか?

エンタープライズソフト史上最大の買収に?

 「Salesforceが身売り検討」は、Bloombergが4月30日付で消息筋の話として報じた。Salesforce.comは、ある企業から買収提案を受けた後、専門の投資銀行を雇い入れたという。投資銀行は買収の申し出を拒絶するよう助言するかもしれず、取り引きが成立する保証はないとしている。

 報道前のSalesforceの時価総額は約440億ドル。買収となると500億ドルを超えるとみられ、買い手になりうる企業は限られる。メディアは、Microsoft、Oracle、IBM、SAP、Amazon、Cisco Systems、Googleなどの名を挙げ、それぞれの可能性を分析している。4月にSalesforceとの間で話し合いを持ったという社の名前は明らかになっていない。

 Salesforceを獲得すればCRM分野でリードし、クラウド市場で優位に立てるはずだ。中でも注目を集めたのがOracleとMicrosoftだ。クラウドでは遅れ気味だが、今後、全力を注ぐ構えだ。投資ニュースのBidness Etcは、Microsoftが最適であるとのCitigroupのアナリストの見解を紹介している。Salesforceを買収することで、クラウドコンピューティング事業での先進の地位を確固にできるというのだ。

 メディアの取材に対し、Salesforceは「うわさや憶測にはコメントしない」とメールで回答。Microsoftは沈黙を守っている。また、OracleのCEO、Safra Catz氏はBusiness Insiderに「われわれはコメントしない。取り引きを漏らしたこともない」とコメントを拒否しながら、こうも述べている。「もし、Salesforceがどこか他社に買収されるなら、われわれには良い話だろう」「市場の破壊が起こるだろうが、破壊は常にチャンスでもある」

(行宮翔太=Infostand)