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「デジタルエンタープライズ」を推進 Boxのプラットフォーム戦略

「デジタルエンタープライズ」

 Boxのプラットフォーム戦略の強化をメディアは当然の動きととらえている。New York Timesは「新しい成長フェーズに入ることを狙ったもの」としてBoxの戦略を分析。「戦略通りに進めることができれば、Boxは開発者を通じて数百万もの新しいユーザーを獲得でき、のどから手が出るほど欲している成長を再び達成できる」とする。

 背景にあるのは、IPOを果たしたベンチャー企業が課される“常に成長しなければならない”という義務だ。Boxは学生時代からの仲間だったという4人が2005年に共同創業した10年選手の企業で、2015年1月にIPOを果たした。初日こそIPO価格の14ドルから66%高となったが、それをピークに株価は下がっており、17ドル付近を推移している。

 2014年は前年比74%増の2億1600万ドルを売り上げたが、New York Timesによると2015年の年成長率予想は31%にとどまり、昨年から大きく減速しそうだ。Boxによると、Fortune 500企業の50%が同社のサービスを利用しており、ユーザー数は3500万人。このうち有料サービスを利用する顧客は4万5000人という。中には、GE、Procter&Gambleなどの超大型企業も名を連ねる。

 そこでプラットフォーム化となるが、ここでBoxは単にSDKを公開するのではなく、「デジタルエンタープライズ」というメッセージを掲げている。CEOのAaron Levie氏はブログで、エンタープライズが変化する必要性があると説いた。

 社内向けではコラボレーション、スピード、フラットなどがキーワードとなり、顧客に対してオンデマンド体験を提供する。いまだ存在しない全く新しいビジネスモデルの構築も考えられるとする。

 具体的には、セキュリティが土台から組み込まれたタスク主導型でシンプルなソフトウェアが必要とする。これを実現するのがBox Developer Editionだ、と位置づけており、Boxは「デジタルエンタープライズ向けのプラットフォーム」(Levie氏)と強調する。

 CNetはこれに加え、Boxがこのところ強化している業界別機能の追加も、成長に向けた取り組みとして挙げている。また、「Boxはワンストップのクラウドサービスと新しいタイプの企業向けのローンチプラットフォームと自社を位置づけている」と分析する。

(岡田陽子=Infostand)