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IEに引退の時? Microsoftがブラウザ改革に着手

IEのブランドイメージは「救出しようがない」

 Spartanは一から書き直したブラウザなので、新しい名称をつけても驚きではないが、背景としてブラウザ分野でのIEのイメージも大いに関係ありそうだ。IEは、MicrosoftがNCSA Mosaicをベースに作成したWebブラウザで、初版の公開は1994年。もう20年を超えた。1997年に公開されたバージョン4からOSとの統合が進められ、この戦略が奏功してシェアが拡大した。だが、その方法は米欧などの当局から独占禁止法違反との判定を受け、Microsoftは多額の制裁金を支払うことになった。

 また、IEの圧倒的シェアに挑戦しようと、Mozillaの「Firefox」やGoogleの「Chrome」など新しいブラウザも出てきた。FirefoxやChromeは、当時のIEにはなかった拡張機能、タブ、認証などさまざまな新機能や概念を持ち込み、「新しさ」をアピールした。最新のHTML仕様の取り込みも高速で、Web開発者などスキルの高いユーザーが好んで使っている。IEにしてみれば、「古い」「遅れている」とレッテルを張られた格好だ。

 こうした流れもあってか、今回の名称変更について、「ChromeやFirefoxが高速だという評価を受けているのに対し、Internet Explorerには悪いイメージがついて回っている」「Microsoftは、Spartanを新しく、魅力的なものと結びつけたいのだろう」とIDCのアナリスト、Al Hilwa氏はAPに語っている。

 一方で、最新の「Internet Explorer 11」を試用したMashableの分析記事では、「IEは批判されているほど悪くない」と結論している。Chromeと比較すると劣るものもあるが、自動入力補完、アドレスバーの検索ボックス、タブなどChrome同等の機能があり、「高速で、安定しているし、グラフィック処理も申し分ない」とする。そして、IEにつきまとう悪いイメージについて、「MicrosoftがIEで何をしようと、いじめっ子がほおをぶん殴った後で罪滅ぼしをしているように思われてしまう」と例える。そして、「MicrosoftはIEがダメだからSpartanをローンチするのではない。IEというブランド名が救出の範囲を超えているからだ」と分析した。

(岡田陽子=Infostand)