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IEに引退の時? Microsoftがブラウザ改革に着手

ユーザーをどう移行させるか?

 Microsoftにとって重要なユーザーは、一部のテクノロジー通だけではない。Windowsマシンを購入し、デフォルトで入っているブラウザをそのまま使うホームユーザー、そして企業ユーザーたちの方がはるかに数が多い。実際、Mashableの記事が示すように、IEのシェアは22%を占めるIE 11をはじめIE 8/9/10/11を合計すると60%近くある。そして、Microsoftはこれらのユーザーに互換性を提供するため、Spartanと並行してIEの提供も続ける。

 この並行戦略には、懸念もある。例えばGuardianは「コードの変更は大きな変化を意味する。ほぼすべてのWindowsソフトウェアに対するレガシーのサポートは、Microsoftの最大の強みであるが、同時に最大の弱みでもある。前進を阻止し、イノベーションに制限を設けるからだ」とする。

 特に、Microsoftにとって重要な企業ユーザーの中には古いIEを使い続けているものも少なからずあり、彼らをSpartanに移行させるのは楽な作業ではない。Microsoftは先に、Windows 7や8のユーザーに対して無料でWindows 10にアップデートできるようにする方針を発表しており、これはOSと同時にブラウザ側でもIEからSpartanへ、最新技術への移行を促進する策となる。

 Guardianは前例として、Appleが2001年に「Mac OS 9」から「Mac OS X」に移行したことを挙げる。これによって、「開発者はコードを書き直さなければならず、アプリケーションをエミュレーター内で動かさなければならなかった」。そして「体験は非常に悪くて、ユーザー離れにつながった」としながらも、この移行は、後のMac、さらにはiOSスマートフォン/タブレットに向かうにあたって必要だったと指摘する。

 痛みを伴うが必要な改革といえるが、WindowsとIEのユーザー層は当時のMacの比ではない大きさだ。Microsoftは、慎重かつ大胆な進め方を迫られることになるだろう。

岡田陽子=Infostand