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DockerがVMwareを置き換える? 普及に向けてエコシステムが加速

VMwareの地位を脅かす?

 Docker社自体にも大きな動きがあった。同社は7月にOrchard Laboratoriesを買収して、コンテナ管理とツールを強化した。そして8月に入ってPaaS事業のdotCloudをドイツ企業に売却し、コンテナ開発に集中する構えを見せている。

 そんな折、GigaOMはDockerが新たに4000万~7500万ドルの資金調達をほぼ決めたと報じた。評価額は4億ドルに達する。同社が今年1月に1.0をリリースしたばかりであることを考えると、“スピード出世”だ。Google、Red Hatなどの支援を受けていることも後押ししているだろう。

 これについてForbesは「ビジネスモデルすら、まだわからない企業であることを考えると、破格の評価額といえる」と言う。その重要なポイントに挙げたのがDockerの市場での位置づけ(投資家の評価)だ。投資家の中には、DockerがVMwareを脅かすとの見方があるという。

 「『DockerがVMware、より広く言うなら仮想化全体を置き換える』というのはかなり思い切った発言だが、コンテナ技術が仮想化事業を少なくとも部分的に脅かすものであるのは事実だろう」と述べている。もし、コンテナ技術が仮想化分野からワークロードを奪い、Dockerがビジネスモデルを構築できれば、「相当の収益をあげるだろう」と予想する。こうした潜在力が、次の技術を探し求める投資家の注目を集めているというのだ。

 Venture Beatも、Panamaxについて「Dockerの人気が高まることで、ここ15年間人気を集めてきた仮想マシンを補完、あるいは置き換えるのでは」としている。

 対するVMwareも、座視しているわけではないようだ。The Registerは同社が「仮想ディスクスワッピングを利用して仮想マシンソフトウェアアップグレードする手法」としてコンテナ技術につながる特許を申請していることを報じた。

 VMwareのCTOはThe Registerに、「Dockerはアプリケーションのデリバリーを合理化し、顧客の成功を支援している。業界の触媒役となっているのを興奮とともに感じている」とコメントしながらも、特許を申請した手法は(Docker対抗ではなく)あくまでVMwareがアプリケーションデリバリーを簡素化する必要に気がついたため開発した、と強調している。

 Paramaxを開発したCenturylinkのCarlson氏は「クラウドを考えるとき、なにか革命的なものになるといいと思っている」と述べている。Forbesは、「ベンチャーキャピタルは崩壊的(Disruptive)と思う技術に賭ける。Dockerがコンテナ技術を発明したのではないが、コンテナ技術への関心を高め、広めたことは間違いない」と記す。

 Dockerには強い追い風が吹いている。クラウド業界をどのように変えてゆくのかが注目される。

岡田陽子=Infostand