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知財を重視する中国に? Appleの特許訴訟敗訴

最終的には和解?

 今後の動向で注目されるのは、係争中の特許侵害が認められるかどうかだろう。AppleはSiriは国際特許を取得していると主張するとともに、両社の技術を分析するよう求めている。中国の国営新華社通信は2013年に初回の聴聞会が開かれた際、中国政法大学の知的所有権研究センターの研究者による「侵害が認められれば、AppleはSiriを搭載した製品の販売差し止め、または中国で販売する製品からのSiri削除を求められるだろう」とのコメントを紹介している。

 その一方、対立は長引かず、両社が和解するとの見方も少なからずある。同じく新華社によると、中国のモバイル業界団体China Mobile Internet Industry Allianceの事務局長は「Appleは販売差し止めになるような事態は避けるだろう」との見解を示している。Appleにとって中国市場は重要だというのが根拠だ。

 Apple InsiderはAppleもZhizhenも話し合いにオープンだとみる。その上で、Zhizhenの弁護士による「重要なことは、自社の権利が保護されること」「Zhizhenは特定の財務要件を出しておらず、最終的には双方がこの問題に協力して取り組み、win-winの結果に至るのではないか」というコメントを紹介する。

 背景の1つとして挙げているのは、Appleが「iPad」で直面した商標権訴訟だ。Appleは2012年、「iPad」の商標権を主張したProview Technology(唯冠科技)に6000万ドルを払って和解している。そういったこともあってか、新華社の記事でChina Mobile Internet Industry Allianceの事務局長は「双方が和解金により解決する可能性は高い」との見解を示している。調査会社のZacksも「この種の訴訟は時間がかかるため、法廷の外で和解することが多い」と予想している。

(岡田陽子=Infostand)