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知財を重視する中国に? Appleの特許訴訟敗訴

中国のIP環境が改善している?

 グローバル企業と中国企業の知的財産権をめぐる訴訟例は増えている。つい最近も、高級電気自動車の米Tesla Motorsが商標権で苦しめられていることが報じられて話題となった。中国人実業家が、自身が権利を持つ「Tesla」の使用差し止めと2390万人民元(約4億円)の支払いを求めて同社を訴えたというものだ。

 この実業家はTesla創業の3年後2006年に「TESLA」と中国語名、ロゴを中国の商標局に登録したという。当のTeslaは2012年に中国市場に進出。実業家がTESLAの権利を先に持っていることから、買い取りについての交渉を進めていたが、要求額と会わず決裂したようだ。実業家は他にも複数の海外企業の社名を商標登録しており、ブローカーのようなことをしていたという。

 インターネットの世界では、インターネットドメイン名を先取りして、実際に使いたい企業に高く売りつける「サイバースクワッティング」が以前、よく問題になった。似たような問題が今の中国でも起こっている。海外企業の弱みにつけ込むような商標ビジネスだ。なお、Teslaの事業では、2014年の販売増加の3割が中国市場からと予想しているという。

 Appleの場合、対象が特許なので、ブローカーということはないだろうが、同社にとって頭の痛い問題であることは確かだ。だが、このニュースを「良いニュース」と分析するメディアもある。

 Forbesによると、コピー商品が出回る中国市場で知的財産権(IP)は尊重されてこなかったが、中国の法務当局と中国企業は、自分たちが保護したいIPがある際にはIPの保護を真剣に行うようになったのだという。かつてはIPを守ることにあまり注意を払わなかった中国の変化を見るわけだ。

 ZhizhenとAppleの訴訟の例は、中国のIP保有企業が国外の企業から自社の権利を保護するものだ。こうした例は増えてゆくとみられる。この方向が進めば、海外企業の権利保護も重視されるようになるという。皮肉っぽい見方ではあるが、世界最大の市場・中国で、IPの尊重が浸透してゆくことは、国外企業の願いでもあるので悪い話ではないというのだ。

岡田陽子=Infostand