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IoT規格争い始まる それぞれの思惑

 話題の「モノのインターネット」(IoT)で最近、GoogleとMicrosoftがそれぞれ動きを見せた。Google傘下のNestが開発者向けプログラムを発表。続いてMicrosoftはIoTの標準化団体AllSeen Allianceへの参加を発表した。IoTは巨大な市場になると予測されているが、今まさに黎明期にある。その規格次第でベンダーの運命は変わる。各社の動きはばらばらで、メディアでは、1980年代の家庭用ビデオ規格争いに重ねる見方もある。

MicrosoftとGoogle/NestがIoT関連発表

 まずGoogle。Nestはスマートサーモスタットや煙探知機などのホームセキュリティハードウェアメーカーで、2月に32億ドルの大型買収を完了させた。買収後もGoogleとは独立して運営されている。そのNestが6月末に開発者向けプログラムを発表した。これまでクローズドだったAPIを公開して同社のハードウェアと連携するサービスの開発を奨励する。

 既にスマート電球のLIFX、洗濯機のWhirlpool、自動車のMercedes-BenzなどがこのAPIを利用してサービスを開発しているという。例えば、LIFXは煙探知機が異常を検知すると電球が赤く赤く点灯する機能を、Mercedes-Benzは自動車が帰路につくと到着予想帰宅時間をサーモスタットに通知し、帰宅時に快適な温度になるように自動設定する機能などを提供するという。

 そしてMicrosoft。7月1日にIoT標準化団体AllSeenへの加入を発表した。AllSeenはLinux Foundationがホスティングする団体で、インターネットに対応したモノを相互に発見したり、運用するための標準技術の策定を目指す。Qualcommが開発したIoT向けの共通言語/フレームワークの「AllJoyn」をベースにしている。

 Qualcommは同フレームワークを2013年末にLinuxカーネル開発の支援で知られるLinux Foundationに寄贈、Qualcommのほか、LG Electronics、シャープ、パナソニック、Haierなどがプレミアメンバーとなっており、HTC、Cisco Systemsなども参加している。Microsoftの加入で、参加企業は51社になった。

 MicrosoftのOSグループでIoT担当ゼネラルマネージャーを務めるKevin Dallas氏は、IoTが広がった世界が遠い将来のものではないとしながらも、「IoTが成功するためには、接続に関する安全性、デバイスの管理、クラウドサービスやマシンが生成したデータとのやりとりなど、解決すべき問題がある」と述べ、業界全体での取り組みの必要性を指摘している。

 Microsoftは同時に、Cisco、IBM、General Electronicsらが立ち上げたIndustrial Internet Consortium (IIC)への参加も明らかにした。IICは主としてIoTのデータにフォーカスした標準化団体である。

(岡田陽子=Infostand)