Infostand海外ITトピックス

クラウドの開発スピードをアップ IBMのPaaS戦略「DevOps」

ライバルは「Windows Azure」

 IBMのPaaSとDevOpsの強化の意味は何か? 「MicrosoftのAzureへの対抗だ」とするのがeWeekだ。「モバイルファースト、クラウドファーストへフォーカスするMicrosoftとの競合で、IBMはオープンへの支持を強みとする」とeWeekは解説。IBMは2013年にIaaSでAmazon Web Services(AWS)対抗を開始しており、PaaSではAzureを標的とする、と続ける。これはIBM自身が公言していることでもある。

 eWeekはIBMのソフトウェア&システム担当シニアバイスプレジデント、Steve Mills氏から次のような言葉を引き出している。「BlueMixの開発にあたって私が着目したのはAWSではない。Microsoftは、パーソナルコンピューティングでは優秀な企業だ。環境への忠実度を重視している」

 だがMills氏は、それが拡大戦略で活用されていないと見ているようだ。「環境の範囲を広げるにあたって環境への忠実度を犠牲にする必要はないと私は考える。両立可能だと思う。そうしたことからAzureの動向に注目している」。Windows Azureとの競争で、IBMはCloud Foundryなどオープンな標準を強みとする戦略だ。

 一方、PaaSで競合するのはMicrosoftだけではない。AWSは「Elastic Beanstalk」「Relational Database」などを持ち、salesforce.comも数年前から「Force.com」を提供している。salesforce.comはPaaS専業ベンチャーのHerokuも買収している。このほか、「AppEngine」を一般提供にしたGoogle、それにEngine Yardなどのベンチャーもいる。

 調査会社のSynergy Research Groupによると、2013年第4四半期のIaaSとPaaS市場の首位はAWSで30%以上(売上ベース)を占めるという。AWSの売上高は、Microsoft、Google、IBMの3社を合計した金額を上回る。

 MicrosoftとIBMについては、IaaS/PaaSの売り上げが2012年第4四半期と比較して倍増したとも報告している。が、決してAWSに勝てたわけではない。「Microsoft、IBM、Googleの3大グローバルITベンダーがマーケットシェアを増やしているのは、AWSのシェアを奪っているからではない。戦略的に重要な高成長市場でリーダーの座を維持しているAWSは、類まれな偉業を成し遂げているというしかない」とSynergy Researchのアナリストはコメントしている。

 シェア争いという点でAWSの背中はなお遠いようだ。

岡田陽子=Infostand