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3DプリンターのAndroidとなるか? Autodeskが3Dプリンタープラットフォーム

5年で3Dプリンター市場規模は7倍

 3Dプリンターはここ1年で急ピッチで拡大しているセグメントだ。Canalysの調査によると、2013年3Dプリンター市場は前年から109%成長し、7億1100万ドルに達したという。2014年は79%増の13億ドルを見込んでおり、5年後の2018年には54億ドル市場になると予想している。これらの数字はプリンターハードウェアのみ。サービスや素材などはその2.5倍ほどの規模があり、これらを入れると2013年は25億ドルに達するという。

 Canalysのアナリストは、印刷に要する時間の短縮、複数の素材や色を組み合わせた印刷などこれまで障害とされてきた課題が解決しつつあり、ハードウェアの価格が下がっている、と現状を分析。高い潜在性を持つとみている。「3Dプリンターは、プロトタイプやコンセプトモデルの作成技術として、確立された方法になりつつある」と述べており、建築、航空宇宙、防衛、医療などさまざまな分野で利用されるとの見通しを示している。

 実際、今年に入って中国で3Dプリンターを使って住宅10棟を24時間で建設したというニュースが話題となった。また、臓器を印刷した事例も報告されている。一方日本では、一般ユーザーが3Dプリンターで拳銃を作成したことが報じられ、陰の面もクローズアップされた。

 Gartnerの「ハイプ曲線」では「過度な期待」のピーク。頂点にある。

 こうしたブームの3Dプリンターだが、Autodeskは現状の課題として、3Dメーカー各社が自社のプロプライエタリなソフトウェアを提供して、ユーザーは各マシンに合わせたソフトウェアを利用しなければならない、とWall Street Journalに語っている。New York Timesなどによると、3Dプリンターソフトウェアは40種類以上もあり、利用する素材もそのメーカーからしか購入できない場合があるという。

 Autodeskの狙いはハードウェア進出というよりも、3Dプリンターの価格を引き下げて普及を促すことで、自社3Dモデリングなどソフトウェア事業を拡大することにある。「3Dプリンターの上位3社になると期待しているわけではない」と同社の広報担当はVenture Beatにコメントしている。

 Gartnerのアナリストは「設計を共有することで、材料押出に関する特許の期限が切れたときのように、規模の小さなベンチャー企業が光造形法に基づくマシンを次々と作成する第2の波が起こるかもしれない」と3D Print.comにコメントしている。

(岡田陽子=Infostand)