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ポストPC時代に向けた新戦略 PCゲームのValve (ゲーム界のAndroid? ポストPC時代への布石)

ゲーム界のAndroid? ポストPC時代への布石

 3つの発表はそれぞれ異なる意味を持つ。まずはValveが目指している方向性をみてみよう。それは、PCからリビングルームへの拡大といえる。リビングルームは、Chromecastを発表したGoogle、Apple TVのApple、そして既存のゲームメーカー3社(任天堂、ソニー、Microsoft)などが狙う市場だが、これら競合と比べるとValveの知名度は劣るように見える。だがメディアの報道からはValveが一目置かれている存在であることが垣間見える。

 英メディアのTechRadarは、「Valveが注目に値する理由は、技術界において顧客が支持するという点で確固とした歴史を持つ会社」と持ち上げた後、「ValveのリビングルームPC市場への進出は、(同社が)競合よりもうまくやれると確信しているからだ」と述べている。Xbox Liveのアクティブユーザーが4800万人であるのに対し、ValveのSteamは5400万人というから、これは、ある程度納得がいく。Steamの利便性(PCが変わっても使用権が残るので購入し直す必要がない、自動パッチやアップデート配信など)、コミュニティの規模(185カ国25言語)やエコシステムは、ゲーム機3大メーカーを凌駕するレベルと紹介する。

 別の記事では、ValveはSteamOSとSteam Machinesにより、「コンシューマーの需要があることを示し、ちゃんと使えるリビングルーム向けPCをなかなか構築できないメーカーに今後の道筋を示した」とし、SteamOSがゲーム界のAndroidになる可能性を指摘した。IEEE Spectrumは、ゲーム機との競合と同時に、PC離れが進むトレンドへの対策と見る。「SteamOSは、5000万人のSteamユーザーとPCゲームのPCからの移行を支援できる」と同紙は分析する。

 OS、ゲーム機、ゲームコントローラーと全てをそろえることで、PCからリビングルームへ移行するにあたって必要な素地を整えたということのようだ。

(岡田陽子=Infostand)