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Facebook訴訟のWinklevoss兄弟、仮想通貨Bitcoinに賭ける (小売りでも受け入れが進む――貨幣の新しい形となるか?)

小売りでも受け入れが進む――貨幣の新しい形となるか?

 だがこれらの懸念はあっても、Bitcoinがメジャーになる可能性を思わせるニュースも続いている。今年に入って、マルタを拠点とするExanteがBitcoinヘッジファンドを立ち上げており、取引の80%が集中しているといわれる東京ベースのMt.Goxは6月末、米財務省のマネーロンダリング規制Financial Crimes Enforcement Network(FinCEN)に登録した。Bitcoinとは直接関係ないが、4月には、Andreessen Horowitzをはじめとしたベンチャーキャピタル数社がBitcoinに似た「オープンソースの電子マネー」をうたうOpenCoinに投資すると発表している。

 同時に、Bitcoinが利用できるサービスも増えており、Bitcoinでガジェットが買えるサイトとして登場したBTC Feverなどに加え、米サンフランシスコの食品・雑貨ショップBuyer's Best Friend Wholesale & Mercantile、食品ECサイトのFoodlerなど、“普通の”店でも使えるところが出てきているようだ。Wall Street Journalによると、Buyer's BestではBitcoin受付開始から数週間で毎日1人程度の顧客がBitcoinを決済手段に選ぶなど、利用が増えているという。ショップ側にすれば、クレジットカード決済に比べると手数料が格安なことが魅力のようだ。

 さて、Winklevoss兄弟の申請は承認されるのだろうか? ETF専門家Ugo Egbunike氏は、Bitcoinを取り巻く問題やETFそのものを精査する流れを考えると承認は難しいかもしれないという。Egbunike氏の見解を紹介したNew York Timesは、メジャーになることで、自由というBitcoinの魅力が損なわれたと感じる既存利用者も出てきそうだと予想する。

 Tyler Winklevoss氏はインタビューで、「初めてのデジタル演算ベースの資産ETF製品となり、これまでにない領域を意味する」と述べ、SECから多数の質問が寄せられるだろうとの予想も示した。

 法律事務所のPatton Boggsで新しい決済手段を担当するCarol Van Cleef氏は「デジタル通貨はなくならない」とみる。これまでの金融製品やサービスがデジタル通貨に適応していくことになるだろう、とNew York Timesに述べている。

 4月に自分たちが1%のBitcoinを所有していることを明らかにした際、Cameron Winklevoss氏は「詐欺だ、バブルだといわれているが、(Bitcoinのことを)真剣に考えたくないからではないか。どこかの段階で、人々のトーンが“仮想通貨は定着する”に変わるだろうと予想している。われわれはまだ、初期段階にある」と述べている。

岡田陽子=Infostand