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クラウドリソースの取引市場を開設へ ドイツの証券取引所

 クラウドコンピューティングのキャパシティを取り引きできる“中立的”な市場が2014年にも登場する。手がけるのはドイツの証券取引所を運営するDeutsche Boerse Groupで、企業や公共機関などが、必要な処理能力やストレージを買ったり、余剰分を売ることができるようになる。電気や水のような公益サービスを目指してきたクラウド業界、ひいてはIT業界全体にとって重要な発展となることが期待されている。

処理能力とストレージを取り引き

 クラウドコンピューティングリソースの取引所構想は、Deutsche Boerse Groupが7月2日に発表した。同社は欧州最大の証券取引所である独フランクフルト証券取引所、デリバティブ専門の取引所Eurez Exchangeなどを運営しており、今回のクラウド取引所立ち上げにあたってドイツのベンチャー企業Zimoryと提携した。両社はすでに5月にDeutsche Boerse Cloud Exchangeという合弁会社を立ち上げており、実現に向けた作業を進めているという。

 取り扱うリソースは処理能力とストレージだ。Deutsche Borseは取引所の潜在ユーザーとして、企業、公共機関、研究所を挙げており、追加でリソースが必要だったり、余剰のキャパシティがある場合に利用できるとしている。利用者が自由にキャパシティ提供者を選択したり、クラウドに置くデータに適用される法を選択できるようにする計画で、取引所で利用できる製品、利用手順、プロバイダの変更、保証などについての標準を策定し、モニタリングしていく。

 すでに、製品規格と技術条件については潜在ユーザーや関連企業として数社と協業を開始している。協業先は、スイスベースのIaaSベンダーCloudSigma、フランスのITコンサルDevoteam、データセンターサービスの米Equinix、ドイツのホスティング事業者Host Europeと、場所も業種もさまざまな企業が並んでいる。またITサービス事業者のT-Systemsが取引所で自社のクラウドサービスを提供することを発表している。

 2014年第1四半期に現金で売買するスポット取引をスタートさせる予定で、Deutsche Borseはその後デリバティブ取引に拡大する意向だ。

(岡田陽子=Infostand)