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スタートアップやソフトウェアに買収意欲 急ピッチで事業拡大を図るOpenAI
2025年4月28日 11:13
拡大戦略の背景に焦り?
OpenAIの他分野への進出は、ハードウェアで提携関係のあるApple、Googleとの競争につながる。AIコード支援ツールでは、提携関係にあるMicrosoftと正面からの競合になる。ブラウザーではMicrosoft、Appleがあり、ソーシャルネットワークではMetaやElon Musk氏のXがいる。それぞれ、実現すれば従来の勢力図や競合・提携関係を書き換える可能性がある。
OpenAIの資金は潤沢で、3月末にさらに400億ドルを調達した。一方で、AIの価格競争は不可避であり、インフラ投資とのバランスはさらに難しくなる。同社の主製品である基盤モデルの料金引き下げ圧力は強い。また、約8億人という週間ユーザー数を持っているとはいえ、ユーザーがAIサービスを他社に切り替えるのは簡単だ。
OpenAIは何を考えているのだろう。TechCrunchは、「次なる成長領域を探しているから」だとする。
AIコーディングは期待できる分野だが、AnthropicやGoogleが次々に高性能の基盤モデルをリリースしてOpenAIの優位は揺らいでいる。そこで、既に開発者に人気のあるAIコーディングツールを手に入れれば、ビジネスをゼロから始めずに済む。
AIコーディングだけではない。ベンチャーキャピタルのSignalFireのパートナー兼CEOであるChris Farmer氏は、「OpenAIはアプリ層での買収に積極的になるだろう」とTechCrunchに語っている。
アプリ層を支配できれば、全てのサービスから利益を上げられる。かつてのOSの覇権争いと同様の動きだ。「彼らにとってこれは生存をかけた問題だ」(Farmer氏)という。
OpenAIは、Meta、Twitter(現X)、Uberなどの元幹部を昨年から次々に採用しており、ビジネス化を本格的に進めているようだ。Altman氏は、従来のような非営利団体の管理下では資金調達ができないとして、営利企業への転換を推進している。
これに対して、OpenAIの共同創業者でもあるElon Musk氏が、営利化は創設時の理念に反するとして提訴。OpenAI側は競争妨害にあたるとして反訴している。
また、22日には、AI研究者やOpenAIの元従業員が、同社の営利企業化を阻止するよう求める共同書簡をカリフォルニア州とデラウェア州の司法長官あてに提出した。
OpenAIの事業拡大は、反発も巻き起こしている。