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Webパブリッシャーに影響? Googleの新機能「AI Mode」開始

「新しいアーキテクチャ」の出現

 Web検索がリンク方式からAI検索に移行すると、広告収入に依存しているコンテンツパブリッシャーは打撃を受けるだろう。サイトを訪問してもらえなければ、表示広告の売り上げは出ない。Web経済のエコシステムが大きく変わる可能性がある。

 ノースイースタン大学のJohn Wihbe准教授(メディアイノベーション・テクノロジー)は、AI Overviewが発表された昨年5月、AI検索がもたらす変化について「新しいアーキテクチャが出現し始めていると思う」と述べている。

 「私たちが知っている標準的なワールドワイドウェブは、これらの(AI検索)モデルに情報を提供する新しい種類のデータレイヤーを備えて進化していくだろう」とWihbe氏は指摘する。AIがユーザーのニーズを予測し、複雑な問題の解決を支援する「エージェント」となる検索サービスだ。

 その新しいサービスの中で、Googleと新興ライバルたちはどちらも、コンテンツパブリッシャーとライセンス契約を結びながらコンテンツの料金を支払う方向に向かう、とWihbe氏は予想している。

 OpenAIは既に、New York Post(New York Timesではなく保守系のタブロイド紙)やWall Street Journal を傘下に持つNews Corpや、英Financial Timesとライセンス契約を結んでいる。またGoogleも、“あらゆるパブリッシャー”からデータを入手するために支払うだろうという。

 ひとつ気になるデータがある。

 先のPress Gazetteの調査で、ChatGPT経由で1月に最も多くの参照トラフィックを得たのはNew York Postで76万回。2位がThe Guardian(73万回)だった。一方で、New York Timesは大統領選後から減少したという。

 保守のNew York Postと、リベラルのThe GuardianはともにOpenAIとコンテンツ契約を結んでいる。だが、New York Timesは記事データの著作権侵害でOpenAIと係争中だ。

 WebパブリッシャーがAI検索サービスに選別される時代になるのだろうか――。