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AIインフラ投資に陰り? Microsoftがデータセンターの契約の一部を撤回

「低コスト、高効率」の影響は、ネガティブよりポジティブが勝る

 DeepSeekの出現で、データセンター投資は減少するのだろうか――。

 JPMorganは1月31日付のレポートで、必ずしも投資の縮小を意味するわけではないと分析している。むしろ、コスト削減と効率化によって新たな投資機会が生まれる可能性を期待できるという。

 DeepSeekの登場は、「3つの前提」(AIには高価なGPUが必要、AIはますます多くの電力を必要とする、AI技術で米国がリードしている)に対する疑念を生んだ。確かに、「GPUコストの低下」と「エネルギー効率の改善」を受けた設備投資の見直しはありうると認める。

 しかし同時に、AIを低コストで利用できることでユースケースが増加し、「AI技術の潜在的な生産性と収益の受益者の多くにとって最もポジティブな結果をもたらす可能性がある」(JPMorgan)という。

 レポートでは過去の例として、2000年代半ば、x86仮想化技術が効率を向上させる一方で、半導体チップとメモリの需要も刺激したことを挙げている。

 Microsoftの契約キャンセルのニュースのあと、市場では「ジェボンズの逆説」が話題になった。これは「テクノロジーの進歩で資源の利用効率が向上したにもかかわらず、資源の消費量が増加する」というパラドックスだ。19世紀に燃料効率のよい蒸気機関が利用されるようになって、石炭の消費量が急増したことから提唱された。

 こうした反応は、「AIが産業革命を起こしている」という認識が広く共有されていることを示したものだろう。