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次の「ChatGPTモーメント」狙う NVIDIAの世界基盤モデル「Cosmos」

「ツルハシとシャベル」

 当然、ライバルたちも同じ市場を狙って開発を進めている。AIがチャットボットを超えて現実の世界に出てゆくためには、物理AIが必須だからだ。

 CESでのHuang氏のスピーチと同じ1月6日、Google DeepMindのTim Brooks氏は「現実世界をシミュレーションする巨大な生成モデルを作る野心的な計画がある」とXに投稿した。ほかにも、“AIのゴッドマザー”Fei-Fei Lee氏が率いるWorld Labsは「空間知能」(Spatial Intelligence)の開発を進めている。

 OpenAIも、過去に断念したヒューマノイドロボットの開発計画に取り組んでいるとThe Informationなどが報じている。そんな中でいち早く、世界基盤モデルを大々的に打ち出したNVIDIAの勝算はどうなのだろう。

 Bank of Americaのアナリスト、Vivek Arya氏は「商業的に成功するためには、信頼性を高め、コストをさらに削減する必要がある」と指摘。さらに、「ロボティクスが商業的に広く普及するには時間がかかる可能性がある」(Reutersが紹介)と分析している。

 TechCrunchは、Cosmosの訓練データの出所が公表されておらず、YouTubeクリエイターがコンテンツを違法に利用されたとして訴訟を起こしていることを挙げながら、著作権の問題を指摘する。これに対しNVIDIAの広報担当者は「(Cosmosは)保護された著作物のコピーや侵害をするような設計ではない」と回答している。

 とはいえ、NVIDIAには大きな見返りがあると見るのは先述のNewman氏だ。ゴールドラッシュに例えるならNVIDIAは金を掘るための「つるはしとシャベル」を売っており、採掘者が金を見つけられなくてもNVIDIAの得るものは大きい。

 「NVIDIAは何が起こっても勝者になる」(Newman氏)という。