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次の「ChatGPTモーメント」狙う NVIDIAの世界基盤モデル「Cosmos」
2025年1月14日 11:37
生成AIの次の波を作る
ロボット分野で次の「ChatGPTモーメント」が起きるというHuang氏の見立てには根拠がある。
従来の物理AIには「開発コストが高く、現実世界のデータとテストを多く必要とする」という課題がある。これに対して、Cosmosでは容易に物理AIモデルを生成できる、とNVIDIAは説明する。
Cosmosはオープンなライセンスの下で公開されるとしており、実際、GitHubではApache License 2.0が採用されている。開発者がファインチューニングしてカスタムモデルを作ることもできる。
NVIDIAのシミュレーション技術担当バイスプレジデント、Rev Lebaredian氏は「膨大な時間のデータをキュレーションしなければならない自律走行車・ロボット企業にとって、ゲームチェンジャーになる」とFortuneに語っている。
NVIDIAの狙いを想像するのは難しくない。ChatGPTから最大の恩恵を受けたのは同社だろう。NVIDIAの評価額はうなぎのぼり。この2年で株価は11倍。2016年に約500億ドルだった時価総額が、2024年11月に3兆6000億ドルを突破し、Appleを超えてテクノロジー企業のトップとなった。
同社のGPUはハイパースケーラー、主要ハードウェアメーカーがこぞって採用するが、一方でAmazon、Googleなどは独自チップの開発を進め、NVIDIA依存から脱却を図る動きもある。“次の一手”がNVIDIAには必要だ。
Business Insiderは、NVIDIAの売上の約87%がチップとデータセンター事業から来ていることを指摘する。またFortuneは「NVIDIAは、永遠にAIの波に乗れるわけではないと知っている。次の波を作らなければならない」と解説する。
NVIDIAの戦略への評価は悪くない。テクノロジー調査・コンサルのFuturum GroupのCEO、Daniel Newman氏は、NVIDIAが10年がかりでロボット、自律走行車向けのソフトウェア、ハードウェア、シミュレーションコンピューターのエコシステムを開発してきたことを挙げながら、まだ“AI”が一般には遠い先と見えていた2007年に「CUDA」ソフトウェアを作成したのと同じやり方だと解説する。
「今後10年で数兆ドル規模の市場機会だ」とNewman氏はFortuneに語っている。