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Databricksが100億ドルを調達 AIとデータプラットフォームへの熱い視線

オープンソース技術をベースに展開、巧妙な買収戦略も

 DatabricksはSparkベンダーからどうやって成長したのだろう。

 2010年代後半、Snowflake、Amazon Redshiftなどのデータクラウドが台頭し、データウェアハウス分野は大きく動いた。「データを処理するだけのビッグデータのいち機能に過ぎない、と重要性を失っていく可能性もあった」(TechCrunch)というDatabricksだが、2020年末にデータウェアハウジング機能を持つDatabricks SQLを発表し、Snowflakeの競合となった。

 次の転機は2023年6月のAIスタートアップMosaicMLの買収だった。13億ドルで、DatabricksはLLM(大規模言語モデル)の開発・カスタマイズ能力を手に入れ、AI関連ツールの提供能力を強化した。

 データフォーマットでも巧妙に立ち回る。Databricksは、自社が考案してオープンソースにしたテーブル形式「Delta Lake」を持っているが、大規模なデータを扱うユースケースで「Apache Iceberg」の人気が高まる中、今年6月にデータ最適化ソフトのTabularを買収した。TabularはIcebergの考案者が創業したベンチャーで、これによってAWSやSnowflakeなどがサポートしていたIcebergを自社で相互運用可能にした。

 投資家の評価はどうだろう。投資ラウンドを主導したThrive CapitalのVince Hankes氏は「Databricksは1兆ドル規模のインフラ企業を目指している」(Financial Timesへのコメント)。また、The Next Platformは「Databricksは、エンタープライズ向けの統合AIプラットフォームを目指している」と分析している。

 Databricksは、Snowflakeとは火花を散らすライバル関係にあり、「SnowMelt」と呼ばれるプログラムを通じて、Snowflakeの顧客獲得を積極的に進めてきた。そのSnowflakeの時価総額は現在536億ドルで、評価額ではDatabricksが上回った格好だ。