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共和党新政権で米国のAI政策が大転換 Elon Musk氏がキーマンに

既存のAIの安全性確保の枠組みは崩壊?

 米国のAIの政策の議論は、AI開発に注力し、世界の中でリーダーシップを保持するという点で一貫しており、民主・共和両党に相違はない。しかし、「安全基準の設定」と「イノベーションエコシステムの保護」という重要な(そして、ときに背反する可能性のある)目標で大きく意見は割れている。

 Biden政権は、競争力を維持しながら「責任あるAI開発・利用を重視」する方向にかじを切った。これを具体化したのが10月の大統領令で、その要となるのが「AISI」(AI安全研究所)だ。

 AISIは今年2月7日、NIST(国立標準技術研究所)内に発足した。AIの潜在的および新たなリスクを評価するシステムの試験、評価とリスク軽減に関するガイドラインの開発などを行う。8月には、OpenAIおよびAnthropicとの間でAIの安全性に関する研究、試験、評価に関する協定を締結した。

 しかし、政権交代で、この枠組みの先行きは一気に不透明となった。

 「AISIは、ほぼ間違いなくイノベーションの妨げと見なされるだろう。必ずしもTrump氏のテクノロジーおよびAIに関する政策と一致するものではない」と、オックスフォード・インターネット研究所でAI、政府、政策を担当する講師Keegan McBride氏はTIME誌に語っている。

 Wiredは、選挙終盤の記事で、Trump氏が勝利すれば、「欠陥のあるAIモデルの危険性がますます深刻化する中、人工知能開発のガードレールが外れる可能性がある」と、警鐘を鳴らしていた。