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「Googleの影のキャンペーン」 Microsoftが“暴露”して欧州での活動を非難

対Microsoft訴訟は2000万ユーロで和解

 MicrosoftとGoogleはクラウドで競合関係にあるが、今回の対立の背景にあるのは、2024年7月のMicrosoftとCISPEとの和解だ。CISPE(Cloud Infrastructure Services Providers in Europe)は、非営利の欧州クラウドインフラストラクチャサービスプロバイダー団体だ。

 流れは以下のようなものだ。2019年、Microsoftがライバルのクラウド上で動く自社ソフトウェアのライセンス料金を値上げした。この値上げに対して2021年に欧州のクラウド事業者OVHcloudが競争の阻害にあたるとして、EU(欧州委員会)に訴状を提出した。さらに、2022年にCISPEがこの訴訟を支援すると発表して、当局の調査を促した。

 訴訟を回避したいMicrosoftはCISPEと協議して今年7月、2000万ユーロ(約31億円)を払って和解することで合意した。この時の合意内容は、Microsoftは欧州クラウドプロバイダー向けの「Azure Stack HCI」開発、過去2年分のライセンスコストに関連する損失収入をCISPEメンバーに補償する代わりに、CISPEはEUへの訴訟を取り下げるというものだった。

 ただし、Amazon Web Services(AWS)はCISPEのメンバーだったが交渉から除外された。欧州の中小規模事業者でない大手事業者は対象にならないとのことだった。

 GoogleはCISPEのメンバーではなかったが、この決着をよしとはしなかったようだ。

 同社は9月にMicrosoftのライセンス料金が割高であることを不服として、EUに苦情を申し立てた。その際、GoogleがCISPEに対して、Google Cloudのソフトウェアライセンスを含む4億7000万ユーロ(約780億円)相当の支援を提供し、Microsoftに対する訴訟継続を働きかけていたことも明らかになった。CISPEはこの申し出を断ったという。