Infostand海外ITトピックス

開発者のAIツール利用が拡大中 AIはその仕事を脅かすのか

AIは開発者の仕事を奪うのか?

 今年の調査では新たに有効性と倫理の質問も追加された。興味深いのが「AIツールはあなたの仕事に脅威となるか」だ。

 結果は「脅威にならない」が68.3%(プロ開発者に限ると69.6%)と圧倒的で、「脅威になる」は12.1%(同11.7%)に過ぎなかった。ほとんどの開発者はAIが仕事を奪うとは考えていない。

 VentureBeatは、これを「驚くべき結果」と伝えている。Stack Overflowの市場調査および洞察部門の上級アナリストErin Yepis氏は「最近の経済情勢を考えると、(脅威と脅威でないという)回答は半々になると考えていた」とVentureBeatに語っている。

 アンケートでは、開発者の大半が少なくとも年間1万ドルの報酬減を報告しており、経済の低迷が収入を直撃していたことも分かっている。AIがフラストレーションを与えて、将来に不安を持っていると思われた。

 しかし、にもかかわらず、多くの開発者はAIに仕事を奪われることはないと考えている。AIツールが生成するコードの正確さや、複雑なタスク処理での能力の不足から、スキルを持つ開発者の需要はなくならないと考えているのだろう。

 むしろ、回答者たちが一番フラストレーションを感じていたのは、職場での「技術的負債」だったという。62%が挙げており、2位の「複雑な技術スタックでの構築」を2倍近く引き離していた。

 技術的負債(technical debt)とは、開発において目先の簡単さを優先した結果、将来にわたって高いコストを招いてしまうことを言う。開発者にとっては無駄で苦痛なものだ。

 開発者の敵はAIでなく、依然として、現場を悩ませるような管理部門の決定ということだろう。