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CNAPPスタートアップを過去最大額230億ドルで GoogleのWiz買収報道

クラウドの普及で注目集まるCNAPP

 Googleの買収提示額は、Wizの4カ月前の評価額の2倍以上となる。これだけの金額を提示してWizを買収する理由は、Google Cloudの強化にほかならない。

 金融サービスWedbushのマネージング・ディレクター兼シニア・エクイティ・リサーチ・アナリストのDan Ives氏は顧客向けのノートで、「Wiz買収はMicrosoftとAmazonへの”威嚇射撃”となり、Googleがクラウドにおいて主力サービスを補完するためにサイバーセキュリティ分野に大きな賭けに出ていることを示す」と分析している。CNNが伝えている。

 Wizが手がけるCNAPPは、クラウドの利用が進む中で注目されている分野だ。調査会社Dell'Oro Groupは2023年のCNAPP市場規模を20億ドルと計算している。これは前年比48%増の急成長となる。

 要因として、企業がクラウドセキュリティ確保を進めていること、クラウドワークロードのセキュリティ確保に最適なソリューションとしてCNAPPが台頭してきたこと、があるという。この市場は2028年まで年平均25%で成長し、60億ドル規模に到達すると予想している。

 Dell'Oroは2024年第1四半期のCNAPPのリーダーをPalo Alto Networksとする一方で、同期間中、最も売り上げが成長したベンダーとしてWizを挙げている。Wizは前年同期比105%増で、「2019年第1四半期から3ケタ成長を維持してきた唯一のベンダー」と評している。

 当のWizのCEO、Rappaport氏は買収報道が出た翌日、Fortuneのイベントに出演して、サイバーセキュリティ市場は統合に向かっていると述べた。現在の業界は細分化されているが、「クラウドコンピューティングでは、全てのセキュリティ対策を1つのプラットフォームに統合することが、顧客にとって実際に安全」と主張した。買収についてはコメントしなかった。