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セキュリティ市場の流れは変わるか? CiscoのSplunk買収

 Ciscoがログ管理大手のSplunkを買収すると発表した。買収額は280億ドルで同社の数多くの買収の中でも最大。実現すれば業界最大級のソフトウェア企業が生まれる。Ciscoはセキュリティを「事後対応型」から「予測型」にしていくとしている。セキュリティ業界の変革の中で、どう展開してゆくのだろう。

Cisco史上最大の買収

 Ciscoにとって買収は重要な成長戦略だ。来年、創業40年を迎える同社の歴史の中で、約220社を買収してきた。その中には、クラウドネットワーキングのMeraki、ネットワーク監視のThousandEyesなど、現在の同社の重要な技術になったものも少なくない。

 そんな中でも9月21日に発表したSplunkの買収は、金額で群を抜いている。例えばMerakiが12億ドルだったのに対し、Splunkは280億ドル。1株あたり157ドルは、Splunkの前日の株価に30%ものプレミアムをつけた値付けだ。

 Ciscoを率いるCEO兼会長のChuck Robbins氏は「AI、セキュリティ、オブザーバビリティの分野でCiscoとSplunkは補完的な機能を持つリーダーだ」と言う。

 Robbins氏は、ネットワークやWebトラフィックなどのデータを収集するセキュリティプラットフォーム「Cisco Security Cloud」に言及しながら、「Splunkを取得することで世界最高レベルのデータプラットフォームを、Ciscoのセキュリティポートフォリオを加えることができる」とする。

 そして、「企業は脅威を検出して対応するモデルから、予測して阻止するモデルに移行できる」と方向を示す。

 Splunkは6年間トップを務めたDoug Merritt氏が2021年末に退任。空白期間を経て2022年3月、ProofpointのCEOなどを務めたベテランGary Steele氏が新CEOに就任した。その間、プライベートエクイティのSilverLakeから10億ドルの出資を受けている。

 Splunkはオンプレミスからクラウドへの移行を進め、製品分野ではログ管理からオブザーバビリティにも拡大を図っている。

 Steele氏はSplunkを次のレベルの企業にすることが任務であると公言しており、買収合意を発表したブログでは「セキュリティとオブサーバビリティの未来を実現するための次のステップ」と説明している。

 Ciscoは、Splunkの買収完了を2024年第3四半期と見込んでいる。