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インドがモバイルOS「BharOS」発表 Googleのライセンスモデル変更と同時

独禁当局のライセンス変更命令が確定

 興味深いのは発表のタイミングだ。同じ1月19日にインド最高裁は、昨年10月の独禁当局CCI(インド競争委員会)の命令を不服として差止めを求めていたGoogleの訴えを却下した。

 Android端末のエコシステムの支配的地位を乱用したとして、同社に1338億ルピー(1億6200万ドル)の制裁金を科し、メーカーに対するプリインストールの制限を変更することなどを求めたものだ。

 GoogleはインドでのAndroidとGoogle Playのライセンスを大幅に変更しなければならなくなった。そして、1月25日にその内容を発表した。デフォルトの検索エンジンなどをユーザーの選択可とするほか、OEMがプリインストールするアプリを個別にライセンス可能とした。つまりGoogle Playなしの端末が可能になる。

 さらに「OEMパートナーが、非互換あるいはフォークを導入できるようAndroidOSの互換要件を更新する」として、派生OSを容認した。「Androidのフォーク」との見方は、このあたりが根拠のようだ。

 命令はGoogleには非常に厳しい内容だが、インドのメーカーの自由度は大きく増すことになる。

 インドのModi政権は製造業を育成する「Make in India」イニシアチブを掲げており、2020年からは自立を推進する「Atmanirbhar Bharat」(独立したインド)キャンペーンを展開している。独立運動のスローガン「Swadeshi(スワデシ)」の現代版だ。BharOSはその一環でもある。

 インド政府は、さらに半導体、電子製品などについても国産化を進めていくと宣言している。「次のフェイズは、アプリのエコシステムの構築と独立したチップセットだ」(India Today紙)と鼻息も荒い。

 とはいえ、BharOSの道は平坦でないとの見方も強い。Indian Expressは、開発者にBharOS向けアプリを書いてもらうこと、主要メーカーを取り込むことは、いずれも簡単ではないだろうと論評している。既にエコシステムが確立している中で、リスクが大きいからだ。

 そして、政府による強力な資金提供が必要だろう、と結んでいる。