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「二度と開発停止の混乱は起こさない」 その後のRocky Linux

 Rocky LinuxのサービスパートナーであるCIQ(Ctrl IQ)が新体制を発表した。Rocky Linuxは「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」のクローンで、2020年末のCentOSの方針変更で行き場を失ったユーザーに人気のディストリビューションだ。CIQは営利企業だが、Rocky Linuxを支えることを使命としている。代表者はCentOSのオリジナル開発者Gregory Kurtzer氏で、ここに至るまでオープンソース開発のガバナンスを考え抜いたという。

営利企業CIQと開発主体のRESF

 CIQが8月31日に発表した新体制ではGregory Kurtzer氏のほか、初期の代表的なLinuxサポート企業であるLinuxcareを創業したArt Tyde氏やDavid LaDuke氏らが名前を連ねている。いずれもオープンソースの世界で長い経験を持ち、Linuxに貢献してきたメンバーだ。

 CIQは、Rocky Linuxの設立サポートおよびサービスパートナーで1年前にサービスを開始した。ユーザー向けにワンストップでサービスを提供し、プロジェクトのスポンサーにもなる。

 Rocky Linuxのほかにも、高性能コンピューティング(HPC)向けアプリケーションコンテナの「Apptainer」、クラスタ管理とOSプロビジョニングの「Warewulf」、クラウドネイティブのフェデレーション型プラットフォームの「Fuzzball」などのプロジェクトも抱え、「全ての人のためにソフトウェアインフラを改善する」ことを掲げている。

 経営環境も好調で、今年5月にはベンチャーキャピタルTwo Bear Capitalが主導するシリーズA投資ラウンドで2600万ドルを調達した。7月にはGoogleとの提携も発表。これを受けGoogleはGCP(Google Cloud Platform)でRocky Linuxを公式サポートし、顧客向けに最適化したRocky Linuxを提供している。

 並行して開発母体である「Rocky Enterprise Software Foundation(RESF)」も体制を固め、CentOSで起こったような開発停止の混乱は二度と起こらないよう「長期的に生存できる組織構造」を確立したという。

 RESFのプロジェクトサイトでは、「RESFはデラウェア州に設立されたPBC(公益法人)である。Gregory Kurtzer氏によって設立・所有され、Rocky Linuxコミュニティの中から、信頼できる個人とチームのリーダーで公正する諮問委員会によって支えられている」と説明している。

 このプロジェクトにたどり着くまで長い道のりがあった。