Infostand海外ITトピックス

成長市場から突然の撤退 Google CloudがIoTマネージドサービスを終了

IoTで存在感薄かった

 Google Cloudは、なぜIoT Coreの終了を決めたのだろう? IoTは、“これから”の大市場であるはずだ。

 Google Cloudの声明は「IoT Coreをローンチした後、顧客のニーズを満たすには、IoTアプリケーションとサービスを専門とするパートナー各社の方がよりよいものを提供できることが明確になった」(The Registerの引用)としている。つまり、自社の製品は、顧客にとって十分なものでないと認めている。

 IoT Coreの終了についてConstellation Researchのアナリスト、Holger Mueller氏はTech Crunchに対し、「興味深い。IoTはクラウドサービスを提供するベンダーにとって、成長の大きな推進力であるはずだ」とコメントしている。

 そして、クラウドトップ3(AWS、Microsoft Azure、Google Cloud)はIoTで活発に動いておらず、専門ベンダーや、「ベストオブブリード」(各分野の最良のベンダーを組み合わせてシステムを構築する)が市場で勢いを増していると指摘している。

 IoT業界ではどうだろう。公開されたデータからマーケット分析を行っているenlyftの調査では、Google Cloud IoT CoreのIoT市場でのシェアはわずか0.3%にとどまるという。

 IoT製品のテスト・評価を手がけるMachNationの首席IoTアナリスト、Josh Taubenheim氏は、ハイパースケール・クラウドプロバイダー3社の中で、GoggleのIoTは「最下位」と厳しい評価をしている。

 同氏はFierce Wirelessへのコメントで「Googleは現在のセキュリティ標準、プラットフォームのモダン化、新機能をほとんど追加していない」と述べ、IoT Coreが終了して困る企業や通信事業者は少ないとみている。

 IoT専門メディアのIoT World Todayは、Google CloudのIoT戦略を詳細に分析した2021年の記事で、「Googleのビジネスは高度なクラウドツールセットの上で動き、KubernetesやIstioといったコンセプトをローンチしている」と解説。Google CloudがIoTでトップになっても良いはずだと評価した。

 その一方で、「GoogleのIoT向け技術ツールは優れてはいるが、パッケージのやり方が競合他社(AWS、Azure)と異なるため、潜在顧客には検討しにくいかもしれない」「企業がGoogle CloudのIoTを評価するには努力が必要」とも述べていた。

 Google Cloud IoT Coreの発表から間髪を入れず、“拾う神”も現れている。Google Cloudの発表を受け、IoT/エッジプラットフォームのClearBladeはGoogle Cloudの顧客向けの移行サービスを発表した。「GCPのシームレスな代替品」をうたっている。

 「去る者は追わず」で、ビジネスは続いていく。