Infostand海外ITトピックス

水使用で新規建設に異論も データセンターが集中するアリゾナ州の街

世界で建設ラッシュ続く

 データセンターは、クラウドの最も重要なインフラだ。新型コロナの影響で、ますますニーズが高まり、世界で急ピッチの建設が進められている。

 Synergy Research Groupによると、2020年末時点でAmazon、Microsoft、Googleなど“ハイパースケーラー”と呼ばれるクラウド事業者のデータセンターは世界に597カ所。2015年の2倍以上となっている。その40%が米国に置かれ、以下、中国、日本、ドイツと続く。米国では、Amazon、Microsoft、Googleのトップ3社が半分以上を占めているという。

 データセンターと水の問題をレポートしたCBNCは、多くのデータセンターがアリゾナ州など水が不足しがちな地域にあると指摘。その5つに1つが、かなり逼迫した流域を水源としているとのバージニア工科大学の研究者の予測を紹介する。

 一般的にデータセンターは、空調あるいは蒸発冷却のいずれかの冷却技術を採用している。事業者は、コストの高い電気の使用量を抑えられる後者を選択する傾向があるというが、その場合、水の使用量が多くなる。

 「典型的なデータセンターは1日に300万ガロン(約1万1400立方メートル)~500万ガロン(約1万8900立方メートル)の水を使う。これは、人口3~5万人の都市の使用量に匹敵する」(水資源に詳しいVenkatesh Uddameriテキサス工科大教授)というほどだ。

 だが、クラウド事業者も水資源を保全に取り組んでいる。Googleは「水をより効率的に利用できる循環型の方法を模索している」と述べ、Microsoftは、水使用の削減や保全プロジェクトなどへの投資で、2030年までに「ウォーター・ポジティブ」(全世界で消費する水の量よりも多くの水を補充する)になることを約束する、とCNBCに回答している。

 また、沸点の低い液体にサーバーを沈めて冷却する「浸漬冷却」(immersion cooling)など新しい技術の研究も進められている。だが、根本的な問題解決までには、まだ時間がかかりそうだ。

 Gartnerによると、世界の今年のデータセンターインフラ支出は、前年比6%増の2000億ドルに達し、その後も3%程度の成長が見込まれている。