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水使用で新規建設に異論も データセンターが集中するアリゾナ州の街

アリゾナ州が選ばれる理由

 山と砂漠で知られるアリゾナ州は近年、隣接するカリフォルニア州などからテクノロジー産業が流入している。データセンターの立地も盛んだ。その理由として、土地が十分にあり、自然災害が少なく、電力コストも安いという条件がある。いま脚光を浴びている太陽光発電にうってつけの気候でもある。

 専門メディアData Center Frontierによると、アリゾナ州は2013年にデータセンターの誘致プログラムを策定。機器購入や雇用などについて、州/郡/ローカルの消費税を最長10年免除とするなどの優遇策を提供している。これが後押しした格好となり、メサ市でも、データセンター構築ラッシュが起こった。

 だが、夏は気温が40度を超える同市では冷却に多くの水を必要とする。建設中のGoogleのデータセンターの水使用量は、1日100万ガロン(約3800立方メートル)級でスタートするが、同400万ガロン(約1万5000立方メートル)級まで拡張が認められている。DCDによると、コロラド川から半分、残り半分は地下水、地表水を利用することになっている。

 これに対し、新データセンターはコロラド川の水は使わず、地下水と地表水の水利権だけで運用する計画だ。一方、連邦政府によると、コロラド川からの表流水の供給量は、干ばつで過去最低レベルまで減少しており、来年にも取水制限がかけられる可能性があるという。

 Duff氏は、アリゾナ州立大学の水政策研究所Kyl Center for Water Policyのレポートを挙げる。「水利権の発行量とくみ上げはキャパシティをはるかに上回っている。このままでは、地下水を保全する2025年の安全揚水量目標は達成できないだろう」と警告するものだ。

 推進派のJohn Giles市長は、「(不測の事態に備える)コンティンジェンシーは十分」と述べている。