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「Libra」は世界を変えられる? Facebookが仮想通貨打ち上げ

 かねてよりうわさのFacebookの仮想通貨がベールを脱いだ。パートナー企業とともにグローバルな金融サービスプラットフォームを構築しようとの野心的な試みだ。ユーザー23億人という同社が満を持して参入する分野だが、発表したとたんに、反対、批判の嵐が巻き起こった。Facebookは障害を乗り越えていけるのだろうか――。

豪華メンバーが参加、しかし猛反発も

 Libraのミッションは「多くの人々に力を与えるグローバルな通貨と金融インフラになる」ことだと管理コンソーシアムの「Libra協会」(Libra Association)は述べている。参加したのはFacebookのほか、Visa、Mastercard、PayPal(決済)、Vodafone Group(通信)、Lyft、Spotify AB、Uber Technologies(コンシューマーサービス)、ブロックチェーン技術企業など、大手、気鋭の計28社。2020年前半の運用開始時に約100に増える見込みという。

 Libra協会は、Libraの発行・焼却権限を持つ唯一の機関で、独立した非営利団体として運営されるという。Facebook自身は協会の一会員として参加。新たに設立した子会社「Calibra」で専用のデジタルウォレットを提供するとともに、関連サービスを開発する。その中にFacebook MessengerやWhatsApp経由でLibraの送受信ができるようにすることも含まれる。

 SNS最大手のFacebookは「(自社の)ソーシャルデータと財務データの分離を保証する」と強調している。しかし、反応は相当に厳しく、発表から即座に政治家や当局者からの否定的な発言が相次いだ。

 例えば、「Facebookは既に巨大で力を持ちすぎ、その力でユーザーデータを食い物にしてきた」(上院銀行委員会委員のSherrod Brown議員)、「議会や規制当局が精査するまで計画を棚上げすべきだ」(Maxine Waters下院金融サービス委員会委員長)との発言があり、上院銀行委員会は7月16日に公聴会を開くことを決めた。

 また欧州でも、「Libraを伝統通貨の代わりにしてはならない。論外だ」(Bruno Le Maire仏経済財務大臣)、「“シャドーバンク”になるかもしれない」(欧州議会のMarkus Ferber議員)など一斉に警戒の声が上がった。