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「テレコクラウド」時代到来? 5Gで進むネットワークの仮想化とクラウド

5Gと表裏一体のクラウド、だが課題も

 モバイルネットワークで、「仮想化」と「クラウド」は新しいキーワードではない。以前から言われてきたことである。だが、ここにきて加速しているのには、5Gの本格展開を迎えているという背景がある。

 Gartnerのアナリスト、Martina Kurth氏は「サービスの実装をアジャイルに、実装とサービス設計を柔軟にすること。また、予測しにくい拡張に対応しながら、デジタル化されたオペレーションインフラに向かうための取り組みが必要」と事業者側のニーズを分析。ベンダーは事業者向けに全体的なクラウド技術を提供すべきだと指摘する。

 一方で、既存の事業者には設備の資産がある。ゼロからネットワークを構築する楽天はともかく、既に運用中の事業者が最新技術をすぐに取り込むのは難しい。

 2017年に「Telco Cloud Framework and Deployment Roadmaps」として、事業者のクラウドについての調査書を作成したABI Researchのディレクター、Dimitris Mavrakis氏は当時、SDX Centralの取材に応じて、「単一のベンダーからエンドツーエンドのNFVフレームワークを選ぶことができるが、これはベンター中立という考え方を犠牲にすることになる」と事業者が抱える悩みを指摘している。

 またMavrakis氏は、技術面では、NFVとテレコクラウドは相互運用性、マルチベンダーの統合などの問題があるとも述べている。

 Light Readingのライターは動画で、「テレコクラウドと5Gは表裏一体」として、「(この分野での)仮想化は少なくとも7年前から言われてきたが、やっと動き始めた」と興奮した口調で語る。AT&TとMicrosoftのように、通信事業者のインフラを利用してパブリッククラウド事業者が自分たちのサービスをエッジで実装するなどの例も見られるという。

 5Gは高速性だけでなく、低遅延と大容量で、工場や自動車の自動化を進める技術と期待されている。新しい世代ではネットワークが進化するだけでなく、それを支えるアーキテクチャも大きく変わると期待できそうだ。