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2019年もAI大国に向けて進む中国 米中摩擦の激化要因にも

 2019年の経済の幕開けは、波乱含みとなった。為替相場は大きく変動し、Appleは業績予想を下方修正して株価が急落。市場も大幅な株価下落で始まった。背景にあるのは、2018年に激化した米中の新冷戦と世界的な景気減速への懸念だ。そして、米中の主導権争いは5Gから、さらにAIにも波及しそうだ。

米中貿易戦争でAIも対象に

 米国はZTE、Huaweiなど5G技術を持つ中国通信機器メーカーを政府機関の取引から排除し、同盟国にも同調を求めているが、同様の動きがAIにも現れている。

 米商務省は国家安全保障を理由に輸出制限を検討している技術のリストを2018年11月に公開したが、この中にAIも入っているのだ。報じたNew York Timesによると、同8月に可決した「輸出管理改革法」で定める「基盤となる新興技術」は、知的所有権が盗まれる懸念から輸出を制限することになっている。リストは、これに該当する可能性があるものだ。

 この中には、音声認識、自然言語理解、コンピュータビジョンなどのカテゴリが含まれており、認められれば、一部の国への技術の輸出に影響する。

 「AIは技術業界にとって致命的で、ワールドワイドウェブと同じぐらいのインパクトを持つ」とNew York Timesは言う。だが政府の動きに対して、業界では(米国から技術を輸入できないため)中国内でのAIの開発が進み、米国と競合するだろうとの意見も出ている。商務省はリストに関するパブリックコメントを1月10日まで受け付けており、一部の企業、学術業界は反対意見を出しているという。

 New York Timesは同時に、AIでは世界の研究者がコラボレーションしていること、企業は学習したことを共有すること、などの特異性にも言及し、「(すべてに)『メードインUSA』のラベルをはるのは難しい」とも記している。