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ついに実機発売 ARの大型スタートアップMagic Leap
2018年8月20日 11:16
敵はApple
Magic Leapは2010年設立。Googleらが参加するベンチャーキャピタルから2014年に5億4000万ドルの出資を受けて注目を浴びた。その後、「オフィスでプレーするロボット・シューティングゲーム」「机の上に浮かぶミニ太陽系」などのコンセプト動画を公開したが、具体的な製品の話はいっこうに出てこない。それでもAlibaba、AT&Tなどの大型出資者が次々に参加し、調達額は24億4000万ドルまで膨らんでいる。
製品も技術も詳細を公表せず、資金を集め続けるMagic Leapに誇大宣伝の疑念を持つ者も多く、「“ベイパーウェア(完成・公開されるかどうかわからない製品)”の会社」といった扱いをされることもあった。今回の製品出荷は、そんな時期を越えててこぎつけた、大きな節目になる。
創業者でCEOのRony Abovitz氏は、FT.comのインタビューで、まだ出資を受け入れるつもりだと語っている。
同社は現在、フロリダ州に、オフィス、音響ステージ、テストエリア、そのAR映像を実現する「photonics chip」を製造する自前工場を持っており、1500人以上の従業員が働いている。デバイスの開発にもかなりの額がかかったが、Abovitz氏は資金にはまだ余裕があると言う。さらなる資金を求めるのは、国際展開と、製品ポートフォリオの拡大を可能にするためだ。
Abovitz氏は「この規模の会社は皆、そのスケールで何かしようとするが、われわれは世界で最も大きな企業の一つに勝負を仕掛けようとしている」と述べている。FT.comは、名指しこそしないものの戦いを挑む巨大企業とは、AppleやMicrosoftであろうと補足する。
Appleがヘッドマウント型ARデバイスを開発中とのうわさは絶えない。2017年11月にARヘッドセットのスタートアップVrvanaを買収しており、「T288」というコードネームのプロジェクトが、ARヘッドセットだと言われている。
今年4月、関係者の話として「T288」について報じたCNETによると、デバイスはARとVRの両方に対応し、専用の処理ユニットとワイヤレスで接続して、高精細の画像を提供するという。計画は初期段階で、2020年のリリースを目指ししているが、変更や中止もありうるというものだ。
敵は強力だ。Magic Leapが本当にAppleと真っ正面から戦うのであれば、まだ不足ということだろう。