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ついに実機発売 ARの大型スタートアップMagic Leap

レビューは高評価ながら、不満も

 Magic Leapは、ML Oneの出荷開始を前に、CNBC、Wall Street Journal、CNET、MIT Technology Review、Wiredなどのメディアをフロリダのオフィスに招いて、実機体験の場を提供した。各社のレビュー記事を見ると、おおむね高評価のようだ。

 「ML Oneは印象的で、今まで使ってきたどんなコンピュータとも違う」(CNBC)、「今のところ最高のARヘッドセットである可能性が高い」(MIT Technology Review)、「その体験は、これまでに見た他のARやVRのデモと同じようで、より心を奪うというわけではない。だが、既に製品になっていて、否定的な見方はあっても家庭到達まで非常に近い」(Wired)など、肯定的な評価を与えている。

 ただ共通して指摘された“減点ポイント”がいくつかある。まず、「視野の狭さ」だ。

 公表された仕様では、視野角(FOV)は水平40度、垂直30度、対角50度で、人間の視野角を全部カバーするには遠く、仮想オブジェクトは窓の向こうにあるように見える。「限られた視野が、その体験を制限している。頭をそちらへ向けたり、何歩か下がらないと、オブジェクトが切れることがある」(Wall Street Journal)という。

 この問題は現在のARデバイスには共通のようで、ライバルとなるMicrosoftの「HoloLens」でも指摘された。それでも、HoloLensの対角35度よりだいぶ大きな視野角をML Oneは実現している。CNBCによると、「将来バージョンで、この問題の解決に取り組むが、人間の全視野をカバーすることは難しい」と説明されたという。

 また、コントローラーが反応しなかった、オブジェクトをドラッグ&ドロップしていてクラッシュしたなどのレポートもあった。

 ML Oneは膨大な計算処理をしている。MIT Technology Reviewは「仮想オブジェクトが現実の物体を隠す」という問題を同社が解決したことを成果として挙げる。仮想の物体を現実の物体の向こうに配置する(隠す)には、光を極めて正確に制御する高度な技術が必要だという。

 MIT Technology Reviewは「(デモのシューティングゲームでは)ときには、ロボットが部屋のソファの後ろから飛び出してきた」と驚きの体験を述べている。これはHoloLensにはない特徴だ。

 Magic Leapは、このメディア向けイベントで、デバイスのプロトタイプも見せた。重量100キロはあろうかという据え置き型の「beast」や、最初のヘッドセット「Cheesehead」など、メカむき出しのデバイスは巨大で、同社が小型化に苦労してきたことがうかがわれる。